英フィナンシャル・タイムズが伝えるところによると、米アマゾン・ドットコムは、同社の音声アシスタントサービス「Alexa」を利用できる、メガネ型のウエアラブル機器を開発しているという。

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骨伝導システム搭載でイヤホン不要

 アマゾンは同じく、「Lab 126」と呼ばれるその秘密の研究開発部門で、家庭用のセキュリティーカメラシステムも開発しており、こちらもAlexaと連携する。そして、これら2つの製品は、年内にも、スピーカー型音声アシタント機器「Amazon Echo」シリーズの新モデルとともに市場投入されると、アマゾンの計画に詳しい関係者は話している。

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 このうち、メガネ型のウエアラブル機器は、スマートフォンと無線接続して利用する。ただし、グーグルが手がけている製品とは異なり、レンズ部分に情報を表示しない。その代わり、骨伝導音声システムを搭載し、ユーザーは音声でAlexaを利用できるという。

 事情に詳しい関係者によると、アマゾンの機器は一般的なメガネと変わりがなく、違和感がなく身に着けられる。また、骨伝導スピーカーを採用しているため、イヤホンを装着する必要がない。さらに、カメラも搭載しないため、かつてグーグルが、メガネ型ウエアラブル機器「Google Glass」で批判されたような、プライバシー侵害問題もないという。

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実体は身に着ける音声アシスタント機器

 つまり、アマゾンの機器は、メガネ型とは言っても、その実体は、視覚情報を表示するAR(augmented reality、拡張現実)なのではなく、Alexaをより身近に利用できる音声アシスタント機器、ということのようだ。

 アマゾンはかつて、スマートフォンで失敗した経験を持つ。同社は2014年に、自社ブランドのスマートフォン「Fire Phone」を発売したが、その売れ行きは芳しくなく、2015年には、すべての在庫の販売を終了し、スマートフォン事業から完全撤退した。

 そうした中、同社は音声アシスタントサービスをアプリという形で、iPhoneやグーグルのAndroid搭載スマートフォン向けに提供している。しかし、アプリベースのサービスでは、まずアプリを立ち上げる必要がある。例えば、iPhoneのように「ヘイ、シリ」と呼べば、すぐに応答するというものではないのだ。

 アマゾンが開発しているとされるメガネ型ウエアラブル機器は、こうした使い勝手の悪さを解消する機器になるようだ。

メガネ型は消費者に受け入れられるのか?

 ただし、そこには立ちはだかる壁がある。メガネ型ウエアラブルは、まだ消費者には十分に浸透していないからだ。米国の市場調査会社IDCの推計によると、メガネ型を含む「その他」のウエアラブル機器の今年の出荷台数は、わずか40万台。腕時計型の6740万台を大きく下回る見通しだ。

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 かつてのFire Phoneとは異なり、Amazon Echoをはじめとする同社製スピーカー型アシスタント機器は好調に売れている。こうした状況の中、アマゾンは、リスクを恐れることなく、その成長分野への投資を拡大しようとしているとフィナンシャル・タイムズは伝えている。

筆者:小久保 重信