ヴィッツGRMN(プロトタイプ)(写真: トヨタ自動車の発表資料より)

写真拡大

 トヨタのモータースポーツ活動である「GAZOO Racing」を起源とした「GR」ブランドが発表された。これの前身として「G’s」ブランドがあったのだが、改めて世にインパクトを与え、持続的なシリーズとしていくために形にしたのであろう。GRブランドの体系には、スポーツマインドを気軽に取り入れた「GRスポーツ」、本格的スポーツモデルの「GR」のほか、エンジンチューニングも含めた究極の「GRMN」がある。先日発表されたシリーズでは唯一、ヴィッツがそれにあたる。

【こちらも】トヨタ、世界の潮流に乗る・G's(ジーズ)廃止GRに統合 スポーツマインド前面に

■マツコ・デラックスが喜んだというエピソード

 実はこのヴィッツ、単なるコンパクトカーではない。今年、トヨタが18年ぶりに参戦している世界ラリー選手権で活躍している車なのである。2回も総合優勝を果たしており、現在マニュファクチャラーズランキングで3位である。車名は「ヤリス」となっているが、これはヴィッツの別名(欧州名)である。

 18年ぶりにトヨタが世界ラリー選手権に復活することは、去年の暮マツコ・デラックスさんのテレビ番組「夜の巷を徘徊する」で特集された。豊田章夫社長も出演して、自らのドライビングテクニックを披露して車の愉しさをアピールしていた。実はモータースポーツ好きであったマツコさんも、チーム監督のトミ・マキネン氏(往年のラリードライバー)が操る躍動的なヤリス(ヴィッツ)を間近で見て大興奮であった。そして、「若い人たちにももっと車に乗ってほしい」とメッセージしたのである。

 今回市販となるヴィッツGRMNはターボチャージャーではなく、スーパーチャージャーとしたことはターボラグを嫌う、まさにラリー車を見据えた仕様である。アクセルレスポンスを楽しんでみたいクルマであろう。

■モータースポーツの血を引くヴィッツGRMN

 そんな一面を持つヴィッツであるから「GRMN」という究極の冠がつくのは当然で、わかる人なら想像以上の出来であるクルマだと思うだろう。2018年の春に発売される予定である。

 ヴィッツGRMNは、1.8Lエンジンにスーパーチャージャーを新搭載しているが、特筆すべきはあのロータスエリーゼのエンジンであるということだ。もともとロータスにはトヨタがエンジンを提供したが、ロータスがスーパーチャージャー付に改良したものである。今度はそれをトヨタ流にチューニングし、最高出力212ps(156kw)、最大トルク25.3kg(249Nm)と発表されている。トランスミッションは6速MT。サイズは全長3,975×全幅1,695×全高1,510mmで、車両重量は1,140kg。そのほか、専用フロントスポーツシート、ザックス製ショックアブソーバー、剛性パーツの追加、GRロゴ付き専用メーター、BBS軽量鍛造アルミホイール、小径ステアリングホイール、LSD(リミテッド・スリップ・デフ)が特別装備される。

 この車重にして212馬力のモンスターである。スーパーチャージャーを搭載したことで、ターボラグのないアクセルワークを実現している。さらに新開発のLSDは、FFを感じさせない4WD並みの、つまりラリー車であるヴィッツの兄貴分ヤリスの操縦性を演出してくれるだろう。またザックス製ショックアブソーバー装着のためコーナリングでも安定しており、日常仕様でもまったく支障のない乗り心地を確保している。しかし一般道では持て余すかもしれないので、ぜひサーキットのアマチュア向け走行会で試してみたいクルマである。

 ちょっと気を付けたいのは、ウィンカーレバーが左にあることだ。ヴィッツGRMNはフランスで製造されたものの逆輸入であるからだ。恥ずかしいから、間違ってワイパーを動かさないようにしよう。