鳳凰衛視は最近、主力の人気討論番組3本を打ち切ることを決定した。写真は北京にある同社の社屋。2014年撮影(MARK RALSTON/AFP/Getty Images)

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 19年間続いた、中国で最も人気のある政治討論番組「鏘鏘三人行」が、打ち切られることになった。放送局は香港メディア「鳳凰衛視(フェニックステレビ)」だが、同局はかねてから習近平氏と反対派閥となる江沢民派と繋がりが深いとされてきた。中央政府の重要人事が決まる第19回全国代表大会(19大)を控える習近平政権は、反対派の報道を封じ込める狙いがあると、専門家は見ている。

 習近平氏の妻・彭麗媛氏も1999年に出演したことがある番組だ。中国共産党がタブー視する話題も取り上げてきたため、本土でも人気が高かった。しかし、香港市民の民主化を求める活動や法輪功に対する迫害など、中国共産党が言論統制する話題には踏み込んでこなかった。

 打ち切られた「鏘鏘三人行」のほかに、2本の主力番組だった討論番組も放送終了することが決まっている。この決定は、中国全土のテレビ・ラジオ・新聞・出版社を管轄する、国家新聞出版広電総局の判断とみられている。

 フェニックステレビの最高経営責任者は、元軍所属の共産党員だった。中央政府寄りと見なされてきたフェニックステレビだったが、今頃、なぜ政権の言論統制の対象となったのか。

 CEOの劉長楽氏は、中国伝媒大学を卒業したのち中央人民広播電台(ラジオ局)に入局。時期を重ねて、人民解放軍の「総政治部(人民軍将兵の人事、規律及び忠誠度の保持を担当)」に所属する将校でもあった。のちに同ラジオ局の軍事部副主任に就く。劉氏は香港に移り住み、石油貿易と不動産ビジネスで財を築き、1996年に鳳凰衛視を創設した。

 父・劉向一氏は、中央組織部秘書局長や中央組織部弁公庁副主任などを歴任した元高級幹部。

 中国共産党とのつながりが強い劉だが、その部下もまた中央政府の元高官や、本土メディアの幹部経験者が多い。スパイ容疑で逮捕されたフェニックステレビ幹部もいる。同局アメリカ向け放送責任者・麦大泓は2008年、米海軍潜水艦の機密情報を中国共産党に渡そうとしたため、FBIに逮捕され、懲役10年の刑に処せらている。

番組打ち切り 江沢民派に対する警告

鳳凰衛視の最高経営責任者である劉長楽(大紀元資料室)
 

 時事評論家の唐靖遠氏は大紀元の取材に対し、劉長楽はたびたび、江沢民派の薄熙来や周永康を持ち上げる報道を行い、重慶に赴いて薄熙来と交流を深めることさえあったと話した。また、江沢民の長男・江綿恒はフェニックスメディアグループ理事会の理事でもある。

 共産党第19回大会まであと1カ月という時点で鳳凰衛視にメスを入れたことは、単なる言論統制とは意味が異なると唐氏は強調する。「打ち切りにされた3つの番組はすべて時事評論に関するもので、当局は江沢民派勢力に対し共産党大会中に騒ぎを起こすなとの警告とみてとれる」。

 時事評論家・鄭浩昌氏は大紀元の取材に対し、「劉長楽には2つのバックグランドがある。一つは劉自身が人民解放軍情報機関の将校だったこと、もう一つは劉の江沢民派石油業界との深いつながりだ。この2つのことは劉が公にしたくない情報だ」と話した。

 鄭氏は、「フェニックステレビに当局の指導が入ったのは、習近平政権による党内のすべての情報機関に対する粛清と関係している可能性がある」とし、19大前に江沢民派・曽慶紅が掌握するメディアを徹底して抑え込もうとしているのではないかと分析する。

逆輸入のプロパガンダ

 香港に拠点を置くフェニックステレビは標準中国語で放送を行い、「全世界の華人向けのCNN」を目指すとされている。「香港」の立地を利用して自由な報道を行うと印象づけている。出演者から時々過激な発言が飛び出ており、厳しい言論統制を敷いている本土で市民の受けが良い。党の宣伝機関である中央テレビ局の番組より、その主張は視聴者に受け入れられやすく、「逆輸入の洗脳」道具とも言われている。

 また、フェニックステレビは、在外中国人の中国語番組へのニーズを利用して、党の政策を宣伝している。日本でもNHKのBS1『アジアクロスロード』(2007年1月4日〜2011年3月31日)にて、この度放送停止が決定した討論番組「時事弁論会」が放送されていた。スカパー!プレミアムサービスの「鳳凰衛視」チャンネルで24時間放送されている。その放送事業者は日本で中央テレビの番組を毎日24時間放送する、CCTV大富。

(編集翻訳・文亮)