アンチエイジングに一石!年それぞれの美しさ「スロービューティー」とは

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しわが取れる、たるみを引き上げる……。新しい化粧品が発売され、その効果が宣伝される度、多くの女性がアンチエイジングのプレッシャーと戦っているのではないだろうか。「教えて!goo」にも「アンチエイジングについて」をはじめ、山のように相談が寄せられているが、そこには老化への恐怖も感じ取れる。しかし、年齢を重ねたからこその魅力や表現もあるはずだ。

画一的な美的価値とルックス重視の世相を批判的に捉えた『「見た目」依存の時代』(原書房)という著書(※石井政之さんとの共著)がある駒沢女子大学教授・資生堂客員研究員の石田かおりさんは、15年前から、「人それぞれ、年それぞれの美しさ」を追求する「スロービューティー」を提唱している。

※NPO「ユニークフェイス」代表を務めるフリーライター

■支持を集めるオシャレな高齢者

石田さんは「いまもって外見が重要な役割を担っており、一億総アンチエイジング観ともいえそうな社会であることに変わりはありません。それに対してスロービューティーはなかなか進みません」と嘆息する。

かつてベストセラーになった『人は見た目が9割』の続編『やっぱり見た目が9割』が8年後の2013年に出版されるなど、確かに価値観は変化していないように感じる。

「それでも……」と石田さん。「最近は白髪をいかした男女のファッションやドラマで倍賞美津子さんの自然なシワがかっこいいと評判になったこともあります」と話す。

倍賞さんが60歳代半ばで出演した「半沢直樹」「流星ワゴン」「下町ロケット」といった一連のヒットドラマで見せた年齢と経験の重みを感じさせる演技が絶賛されたのは記憶に新しい。それだけではない。

「80歳代を中心としたニューヨークのおしゃれな高齢者が支持を得ています。写真集が売れ、展覧会も盛況です。少しずつ年齢をいかした、若者にはできない表現を実践する人が増えているようにも感じられます」(石田さん)

2013年に出版された60歳から100歳の女性を被写体にした写真集「AdvancedStyle〜ニューヨークで見つけた上級者のおしゃれスナップ」は話題となり、その後、日本の各地でも写真展を開催。今年に入って第2弾となる「AdvancedStyle Older&Wiser〜世界の上級者おしゃれスナップ」が日本でも発売されている。

つい最近では女性週刊誌に「40代からのグレーヘア入門」という記事も載った。「年それぞれの美しさ」が受け入れられる下地はできてきたようだ。では、具体的にはどういった化粧を心掛ければいいのだろうか。

■オンリーワンの表現を

石田さんは「人間は一人一人みな違う顔つき・体つきで生まれてきます。見分けがつかないほどそっくりな一卵性双生児でも親しい人は見分けられるように、誰しも異なる外見を持っています」と話す。

一方、今の美的価値に対して「美容では理想的な顔や体形は一定のものしかないために、多くの人がそれを追い求めると、美容に励む人が増えるほど同じような外見の人が増えることになってしまいます」と嘆く。「メイクする前より後の方が個人の判別率が下がる、という実験結果もあるくらいです」とも。

「せっかく個性を持って生まれたのですから、それをいかすことで、自分にしかできないオンリーワンの表現ができるはずです」と石田さん。「そうすればより楽しくハッピーに日々を過ごせるのではないでしょうか」と提案する。

石田さんは「それが『人それぞれの美しさ』です。『人それぞれの美しさ』を実行する人が増えると、美の基準が多様化します」との期待も込めた。

次回は「スロービューティー」の考え方が広まってきた背景について詳しく話を聞いてみたい。

●専門家プロフィール:石田かおり
駒沢女子大学教授・資生堂客員研究員。お茶の水女子大学大学院修了。学習院女子大学、日本女子大学、早稲田大学の非常勤講師も務めた。専門は哲学的化粧論・身体文化論。著書は『おしゃれの哲学』(理想社)『化粧せずには生きられない人間の歴史』(講談社現代新書)など多数。

(武藤章宏)

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)