組織犯罪を捜査する公安部検事が児童ポルノの購入者だったとは…(撮影:引地信彦)

法の番人が法を犯すという、本来は決してあってはならない不祥事が東京地検で起きていた。

東京地方検察庁は9月22日に職員の不祥事で臨時記者会見を開催。公安部の菅井健二検事(44)を同日付で2カ月の停職(=懲戒処分)にするとともに、略式命令請求をし、50万円の罰金刑(=刑事処分)が科せられたと発表した。

公安部は2015年に組織改正。従来の公安事件だけでなく、犯罪集団による強盗や窃盗、薬物販売も扱う専門部署に一新し、検事の数も倍増させていた。菅井検事は即日、罰金の全額を納付するとともに依願退職した。容疑を全面的に認めていて、争う点はいっさいないという。懲戒処分について菅井検事は「もとよりいかなる処分も受ける」と話していたという。

別件の捜査で検事の購入履歴が浮上

今回の不祥事は、別件で児童ポルノDVDの売買を捜査している線上で、菅井検事が私的に購入したことが最近発覚。菅井検事本人を取り調べたところ、自ら購入したことを認めた。罪名は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反」(児童ポルノ所持に関しては1年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する)である。

東京地検によれば、菅井検事は今年4月中旬ごろ、児童を相手とした性行為を撮影したDVD12枚を購入した。東京都内の自宅でそれらを所持していた。DVDは1枚当たり平均2時間だという。内容がすべて動画なのかは不明だが、動画があるのは間違いないという。

この「別件の捜査」は現在も継続しているため、検察の捜査なのか、警察の捜査なのかすら「捜査に支障を来す可能性があるので答えられない」と、会見した山上秀明次席検事(東京地検ナンバーツーで広報を担当)は答えた。同じ理由で児童が18歳未満であるという以上のことはいえず、小学生か中学生か、男児か女児かは「コメントを差し控える」とした。

動機について山上次席検事は「性的好奇心に尽きる」とのみ回答。購入時点で、菅井検事に違法であるとの認識も「当然あった」とした。捜査目的ではなく、菅井検事が私的に購入したものだった。

菅井検事は東京地検の前は静岡地検、神戸地検、宮崎地検、長崎地検、仙台地検で検事を歴任。宮崎時代は同県初の裁判員裁判で主任検事を務めた。ほかの地検での余罪はないという。「ネットでの児童ポルノ動画閲覧などDVD以外の罪はないのか」という質問に、山上次席検事は「証拠上、立件できたのがDVD12枚である」とした。

決め手を欠く不祥事再発防止策

山上次席検事は「当庁コメント」として「職員がこのような事件を起こしたことは誠に遺憾であり、国民の皆様に深くお詫び申し上げます。当庁としては深刻に受け止め、改めて、このような事案が発生しないように職員に対する指導を徹底し、綱紀(国家を治める大本)の保持と再発防止に努めてまいります」との文章を2度読み上げた。

具体的な再発防止策について、「繰り返し指導することで各人の意識を高めることに尽きる。本件を機に指示文書を発出したが、年末など折に触れて同文書を発出する」と山上次席検事はコメントしたが、略式命令請求、2カ月の停職という甘い処分に加え、指導の徹底だけで不祥事の再発を防げるかは大いに疑問である。

いみじくも、「今回は職務外の私的な犯罪である」(山上次席検事)ことを理由に、菅井検事の上司への懲戒処分はいっさいしていないように、今回の不祥事はあくまでも私的な行為に関するものである。

検事のプライベートな時間で起きた不祥事を今後どう未然に防止していくのだろうか。「職員の意識向上」といった精神論だけでは、不祥事は繰り返されるおそれがある。捜査の専門機関もこればかりは「正直お手上げ」ということか。