自動車工業会の自主規制に準じている

 国産の小型乗用車・普通乗用車が、180km/h、軽自動車が140km/hに達すると、それ以上スピードが出ないように、スピードリミッターが働くのは何故なのか。法律的には、スピードリミッターの装着は義務ではない。輸入車には180km/hリミッターなどはついていないのがその証拠。

 ではなぜ国産車には上記のようなリミッターがついているのか? これは自動車工業会の自主規制に準じているだけ。普通車のリミットが、180km/hとなっているのは、日本の高速道路の最高速度は100km/hで、その速度で走行するためにはパワーに余裕が必要なため。

 そして、高速道路の設計基準である6%勾配(最大勾配)を走行した場合の走行性能を平坦走行性能に換算した数値が180km/hとなるからとされている。一方、軽自動車はメーターの視認性などが影響しているという説が有力。

 つまりメーター上の最高速度=スピードリミッターが働く速度の、およそ57%を(高速道路での)常用使用域の最大値=80km/hとする指針で、そこから逆算するカタチで、140km/hでリミッターが当たるようにしたとのこと。

 いずれも、言われてみれば何となく根拠らしいともいえなくもないが、そもそもなぜ、140km/h、180km/hでスピードリミッターが働くのかというと、ざっくりいえば、今年話題になった「忖度」(そんたく)でしかない!

 かつての運輸省、今の国土交通省の顔色をうかがいながら、自動車メーカー側が、「200km/hの大台に乗せると役所が渋い顔をしそうだし、あまり低く設定しても、輸入車に対し商品力で見劣りするので、180km/hぐらいがちょうどいい落としどころなのでは?」

「軽自動車は、普通車と同じというわけにはいかないので、140km/hぐらいかな」と、そんなやり取りから、この自主規制が制定されたと推察するが、これはあながち間違っていないように思う。

 スピードリミッターがあろうがなかろうが、公道での制限速度は決まっているので、別段問題はないはずだが……。

 軽自動車の64馬力自主規制もそうだが、法律はともかく、自主規制のような不自由な縛りは、早く撤廃したほうが、メーカーにもユーザーにもメリットが多いような気がするのだが、どうなのだろう?