前節バルセロナ戦に続く完敗だった。

 エイバルのホーム、イプルアで行なわれたリーガエスパニョーラ第6節セルタ戦は、エイバル、そして乾貴士にとって、苦い思いの残るものとなった。0対4のスコア。しかもリピート放送を見るかのように、セルタの左サイドのセットプレーからの攻撃を止めることができずに、エイバルはいとも簡単に連続ゴールを献上してしまった。


セルタ戦に先発したものの、37分に交代した乾貴士(エイバル)

 そして乾は、エイバル移籍後初となる前半途中での交代を命じられた。37分、2点差を縮めるためにセルジ・エンリッチと交代してピッチを去った乾。けっして悪いプレーをしていたわけではない。ただ、この試合ではべべがプレーした右サイドに比べて、左サイドはボールに絡む回数が少なかった。

 試合後の記者会見で、ホセ・ルイス・メンディリバル監督は「試合の流れから何かを変えないといけなかった。彼のサイドから攻められていなかったし、得点差からいっても解決策はタカシを外すことで見つかると考えた」と、日本人MFの交代はケガなどではなく、戦術的理由によるものであることを明らかに。

 だが、チームはその直後にも、1点目、2点目と同じように、セルタの左サイドのクロスから失点してしまう。

 後半になっても勢いを取り戻すことのできないエイバルは、72分に今度は右サイドを完璧に崩され、ダメ押しとなるゴールをダニエル・ワスに豪快に決められた。

「タカシを下げた自分の決断が正しかったとは思わない。なぜなら、交代後もチームのパフォーマンスに大きな変化はなかったからだ」と、メンディリバル監督は、この試合での交代カードの切り方が最善ではなかったことを素直に認めている。

 乾はいつも以上に深刻な面持ちでミックスゾーンに現れた。交代については、「2失点した後で点を取りにいきたかったし、(交代枠で)FW3枚を使うという考えが今シーズンはある。それまでに自分が何もできなかったのが交代の要因だと思うし、仕方がない」と語る。個人としての悔しさや苛立ちといった感情を見せるのではなく、いいパフォーマンスを見せることのできなかったチームに対する思いや、強い責任感を感じさせる反省の弁が口をついて出た。

 メンディリバルが監督に就任した2015年以降、チームとしてコンパクトな戦いを見せてきたエイバルだが、今シーズン、その姿は影を潜めてしまっている。完敗したアウェーでのセビージャ戦後、組織としてボールを奪いにいくこと、はめる形が作れていないことを乾は反省点として挙げていたが、セルタ戦はまだその修正が完全にできていないことが浮き彫りとなった試合だった。

「自分たちがどこで取りにいくのかをしっかりしないといけない。全員が連動した守備ができるように、そこから修正しないといけない。連動したサッカーがエイバルの持ち味だし、去年までのサッカーを取り戻さないと本当に厳しい戦いになる」

 乾はチームとしての決まり事が果たせていないことを危惧していた。

 この試合に敗れ、第6節終了時点でエイバルは16位に沈む。だが、全てを悲観する必要はない。シーズンはまだ始まったばかり。残留に向けて試合はまだ多く残されているし、スタートダッシュの躓(つまず)きを取り戻すだけの時間は十分にある。そして完敗したとはいえ、試合後には温かく拍手を送り、チームを激励するサポーターたちがいることも、他のクラブにはない小さな街のクラブであるエイバルのよさだ。

 そして何よりも主役である選手たちの気持ちはまだ死んでいない。乾が「下を向いていても意味はない。前を見て次の相手のことをしっかりと考えないといけない」と話せば、キャプテンのダニ・ガルシアも「早く気持ちを切り替えて明日の練習からビジャレアル戦に向けてやっていきたい」とコメント。ロッカールームの雰囲気を早く明るいものに変えようと、強い気持ちを持って前を見据えている選手たちがいる。

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