さわだ ゆたか / PIXTA(ピクスタ)

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 ファイナンシャルプランナー(FP)としてご相談をお受けすると、家計を恒常的に黒字状態にするには、節約だけでは限界を認めざるを得ないケースがあります。また節約といっても、洗濯は1週間に何回までとか、入浴は家族が間髪入れず入るといった、継続が現実的ではない涙ぐましい努力をしたところでたかがしれています。

 それだけ頑張っても、スマホで1か月に何十時間も動画を観たらあっという間にその努力は帳消しになってしまいます。そんな場合に、話題がいつの間にか「転職」にかわることがよくあります。

◆デフレ時代でも教育費はインフレ気味

 FPを訪ねてご相談に見えられるご夫妻で多いのは、ご結婚して数年、お子様が生まれたことをきっかけに住宅を購入したいが、もう一人ほしい。といったような内容です。「住宅はなぜ購入をご希望ですか?」と尋ねると、決まって「いやぁ、家庭をもったのだから、賃貸じゃ何となく」という、よくわからない答えが返ってきます。

 住宅は、ご家庭の家計その他の状況でどうにでもなりますが、教育費は動かせません。「今我が家は家計がピンチだから、高校入学を1年先延ばしにする」などということはできません。

 ということで住宅購入の理由が漠然としているのであれば、まずを教育費が確保されているかどうかをチェックするようにご案内しています。教育費はすべて公立で大学まで進学したとして770万円、どこかの段階で私立になれば、大きく跳ね上がります。

「大学は奨学金を利用するから学費の心配は高校まで」などと言われますが、奨学金は大学入学が決定してはじめて権利を獲得できます。大学入学を確実なものにするためには、入学金の一括納入が前提です。

 教育費は最低限「高校までの学費プラス大学入学金」と考えておくべきです。さらに、デフレの時代であっても、教育費は緩やかなインフレトレンドを描いています。

◆入り口を膨らませるほうが前向き

 それでも教育費の負担に愕然とされるご夫妻は少なくありません。そこで節約という話になりますが、たいてい、途中で「いやいや、これはムリ」「続かない」と言われます。

 家計にゆとりを持たせるには、「入り口を広げるか、出口を狭めるかの2つに1つです」です。入り口とは収入、出口とは支出。言い換えれば、収入を増やすか節約するか、節約が無理ならば収入を増やすしかありません。

 今は人材流動化時代です。自信のあるスキルさえあれば、収入を上げる転職は可能です。「そんなのムリ」と始めから可能性に蓋をされる方にはお勧めはしませんが、積極的になられる方も少なからずいらっしゃいます。

 そういう方には、今の労働市場の状況と今も昔も変わらず企業が求めているソーシャルスキル、すなわちコミュニケーション能力や柔軟性についてお伝えをし、家計相談から転職相談にかわっていきます。

 個人的には収入を上げる方が建設的だと思っていますし、こちらのほうが実践しやすいと思っています。

<取材・文/柴沼 直美>
しばぬま なおみ●1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者。日本証券アナリスト協会検定会員、社会保険労務士。MBA(ファイナンス)、キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表

<記事提供:ファイナンシャルフィールド>