難しいタイミングでの監督就任を経て、苦しみながらもW杯の切符を奪取。カラーを打ち出すのはこれからのはずだが……。シン・テヨン監督は「もっとサポートしてほしい」とファンに呼びかけた。(C)Getty Images

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 オランダの智将フース・ヒディンクは、韓国代表チームへの帰還を果たすのか。9月14日にオランダのTVインタビューにおいて「彼ら(韓国)が望むなら私はいつでも手を貸すよ。監督であれアドバイザーであれ、立場は問わずにだ」と語ったことで、韓国国内ではヒディンク待望論が再燃。ファンやメディアの間で、再招聘に関する議論が活発化している。
 
 そんななか、韓国代表のシン・テヨン監督が初めて“論争”について口を開いた。10月に行なわれる代表戦のメンバー発表会見で、苦しい胸の内を明かしたのだ。
 
「もしヒディンクが、なんら私欲や野心を持たずに韓国代表の手助けをしてくれるなら構わない。私はその申し出を受けるよ。そうなれば一緒にチーム強化に従事し、ワールドカップ本大会に向けていい準備もできるだろう」
 
 ただ、口調は刺々しく、どこか不機嫌だ。それもそのはず。韓国メディアが行なったサッカーファンへの意識調査によると、大多数が現政権に対して不信感を抱いており、実に71%の人びとが、ヒディンクを監督あるいはテクニカルディレクターとして迎えるべきと考えているのだ。このムードを、現指揮官が感じ取っていないはずがない。
 
 大統領府のホームページに招聘を嘆願する書き込みが相次ぐなど、事態を重く受け止めた大韓サッカー協会は声明を発表。「シン・テヨン監督の立場がヒディンク氏に取って代わられることはありません。もしヒディンク氏の助言が必要ならば、その時は力を貸してもらいます」と説明した。
 
 7月に代表監督に就任し、采配を振るった2試合はともにスコアレスドロー。9大会連続のワールドカップ行きを決めたとはいえ、指揮官への風当たりは強い。48歳になった元韓国代表のプレーメーカーは、「ファンがヒディンクへの郷愁にかられているのは理解できる。2002年になにが起こったのかを思い起こせばね。あれは本当に奇跡だった」と持ち上げつつ、こう続けた。
 
「もし我々代表チームが10月の親善試合(ロシア戦、モロッコ戦)でいいパフォーマンスを見せられなかったら、また激しい反発を招くのだろう。だが監督というものはそうしたことを気にして恐れを抱いてはいけないし、哲学を曲げてはならない。ロシア戦に向けては、ヒディンクのアドバイスを得ようと思う。彼はあそこで指揮を執っていたし、今回のマッチメイクにも協力してくれた。それが有意義なものになれば、先々の良好な関係につながっていくだろう」
 
 そして最後は、ファンに対してこう呼びかけた。
 
「我々は出場権を獲得した。これから大事なのは、ワールドカップ本番に向けていい準備ができるかどうかだ。そのプロセスにおいて失望させることがあるかもしれないが、どうかサポートしてほしい。この10月の連戦から、最大限の力を発揮して、チームを強化していくことを誓おう」
 
 2002年以降の指揮官たちと同様に、シン・テヨン監督もまた、「オランダ人の残像」との戦いに頭を悩ませている。
 
 なお、ヒディンクを招聘するかどうかはさておき、大韓サッカー協会の技術委員会は「戦術面に長けた専門スタッフを代表チームに加える」と発表している。