トラップなど意外な試みにも挑戦した、約12年半ぶりのソロ作 / 『ジェミナイ』マックルモア(Album Review)

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 2013年の米ビルボード年間シングル・チャートを制した「スリフト・ショップfeat.ワンズ」の大ヒットで知られる、ヒップホップ・デュオ=マックルモア&ライアン・ルイス。昨年2月にリリースした2ndアルバム『ディス・アンルーリー・メス・アイヴ・メイド』が、全米R&Bチャート1位を獲得するなど、全世界でスマッシュ・ヒットを記録したのも記憶に新しいが、今年2017年は、マックルモア&ライアン・ルイスとしてではなく、マックルモアとしてソロ活動を始動させ、2005年にリリースしたデビュー作『ザ・ランゲージ・オブ・マイ・ワールド』以来、12年半振りとなるソロ・2作目のアルバム『ジェミナイ』を、2017年9月22日に発表した。

 6月にリリースした、アルバムからの先行シングル「グロリアス」は、全米1位をマークしたマックルモア&ライアン・ルイスの代表曲「キャント・ホールド・アス」のような、スピード感のあるナンバー。フィーチャリング・ゲストのスカイラー・グレイは、ドクター・ ドレーの「アイ・ニード・ドクター」(2011年)でボーカルを担当した、米ウィスコンシン州出身の女性シンガー・ソングライターで、エミネムとの共演や、【グラミー賞】にノミネートされるなど話題をさらった。

 彼女の他にも、バラエティに富んだ才能溢れるゲストが多数参加している。その中で特に良い仕事をしているのが、ダン・ケープルンという英ロンドン出身のネオ・ソウル・シンガー。ボブ・マーリーの「ノー・ウーマン・ノー・クライ」を意識したレゲエ・チューン「インテンションズ」と、アコースティック・ギターの弾き語り「ミラクル」の2曲に参加していて、張り上げ過ぎず、やや抜けた感じのボーカルがいい味を出している。

 ホーンの音が飛び交う、オープニングを飾る「エイント・ゴナ・ダイ・トゥナイト」では、マックルモア&ライアン・ルイスのヒット・ナンバー「ダウンタウン」(2015年)にフィーチャーされた、エリック・ナリーがパワフルなボーカルを聴かせてくれる。デイブ・Bとトラヴィス・トンプソンがコラボした、13曲目の「コーナー・ストア」も、フロアで聴きたいテンションのあがるナンバーだ。70年代ファンクを意識した「レヴィテイト」や、ロック調の「ファイアブリーザー」、90年代ヒップホップを焼き直した「ザラ」など、こういったアップチューンはおてのものだが、本作にはマックルモアらしからぬ(?)ナンバーも、収録されている。

 それが、2ndシングルとしてリリースされた「マーマレード」。この曲は、D.R.A.M.の「ブロッコリー」(2016年)で共演し大ブレイクした、赤ドレッドのラッパー=リル・ヨッティが参加した、チルアウト系のトラックで、リル・ヨッティの気だるいラップが上手く使われている。また、今年ブレイクしたミーゴズのメンバー、オフセットがクレジットされた「ウィリー・ウォンカ」や、不気味なサウンドが中毒性抜群の「ハウ・トゥ・プレイ・ザ・フルート」、フューチャーやビッグ・ショーンなどを彷彿させる「テン・ミリオン」など、トラップ・ソングにも挑戦したのは、意外だった。これまでのソロ活動や、マックルモア&ライアン・ルイスでは聴けなかった新しい試みだ。

 今年8月に新作『レインボー』で復帰したケシャ参加の「グッド・オールド・デイズ」や、ゴスペルのコーラスをバックに従えた壮大なナンバー「エクスカヴェイト」など、メロウも充実。1曲1曲の入れ替わりが激しく、バラエティに富んだ作品といえる。

 日本盤ボーナス・トラックには、「ドラッグ・ディーラー」 、「ウェンズデイ・モーニング」の2曲が収録される。


Text: 本家 一成

◎リリース情報
『ジェミナイ』
マックルモア
2017/9/22 RELEASE