C大阪戦はスコア的には4-1と大勝。だが、全体的にうちはイージーなミスが多かった。写真:田中研治

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 仙台の渡邉晋監督による現役指揮官コラム「日晋月歩」の第26回。テーマは「総力戦」だ。C大阪戦の前日のミニゲームで、正守護神のシュミット・ダニエルがまさかのアクシデントに見舞われた。
 
 当日、スクランブル発進のような状態で関憲太郎をピッチに送り出した。それでも渡邉監督はまったく心配していなかったという。それはなぜなのか。試合の振り返りも含めて、関との間にあった“とあるエピソード”を語ってもらった。
 
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[J1リーグ27節]C大阪 1-4 仙台/9月23日(土)/金鳥スタ
 
 前回対戦では2-4で負けたC大阪に4-1で勝利。大きな勝点3を得られた。ピッチの深さと幅を上手く使えた1点目は狙い通りだったし、3点目と4点目も持っていた攻撃(カウンターアタック)のイメージを見事に具現化してくれたものだった。
 
 ただ、全体的にうちはイージーなミスが多かった。自分で自分の首を絞めるような展開が続いてしまい、紙一重のゲームだったとも言える。特に得点後、すぐにピンチに陥っていたのは大きな反省点だ。
 
 1点目のあとには山村和也選手の決定機があり、2点目を奪った4分後には水沼宏太選手にネットを揺らされ、3点目の直後にもシュートまで持って行かれている。戦術的に不具合があったのか、メンタル面の問題か。いずれにせよ修正を施さなければいけない。
 
 そんななか、ビッグセーブでピンチを救ってくれたのが憲太郎だ。前日のミニゲームでアクシデントがあり、ダニエルが出場できなかった。憲太郎にとっては急遽、そしてリーグ戦では6節の浦和戦以来の先発だった。
 
 ただ、実は心配など微塵もしていなかった。ダニエルがスタメンを張り続けていた時期もトレーニングマッチでは安定したパフォーマンスを披露しており、彼の能力も十分に理解している。
 
 だからこそ、試合前にも特別に声を掛けなかった。そんな憲太郎の佇まいからは「平気ですよ」という雰囲気が漂っていて、本当に心強かったのを覚えている。そう思わせてくれる選手ほど、頼もしい存在はいない。
 2015年シーズン、憲太郎は第1ステージ2節の柏戦のあとから当時所属していたロク(六反勇治/現・清水)にポジションを譲った。それからロクが試合に出場し続けて、日本代表にも呼ばれるほど好調を維持した。
 
 最終的にロクが最後までスタメンを守り切るのだが、ある時、サブとして黙々とトレーニングをこなしていた憲太郎に「こういう状況だけど頼むな」とちょっと声を掛けた。
 
 すると、憲太郎は「大丈夫ですよ。第2GKがしっかりしていることほど安心な状況もないでしょ、ナベさん」と。自分の立ち位置を考えれば悔しさも絶対にあり、決定権を持つ指揮官に対してサラッと言える言葉ではない。憲太郎の心の大きさや人間力を改めて感じ、頭が下がる想いだった。
 
 今節のC大阪戦に関しても準備万端だったのを知っていただけでなく、そんなやり取りが以前にあり、「不安要素など全くなかった」と言えるのだ。ビッグセーブで勝利を手繰り寄せる一因を作ってくれたが、こちらからしたら「憲太郎ならあれくらいやれるだろ」という信頼があった。
 
 フィールドプレーヤーでも、勝負所を分かっている野沢(拓也)や梁(勇基)の経験値の高さがシーズン終盤にきて生きてきている。そしてチームのプレーモデルができてきたからこそ、彼らのイマジネーションやインテリジェンスがアクセントとして効いているのだ。
 
 次節はアウェーで敗れた浦和をユアテックスタジアム仙台で迎え撃つ。勝てば勝点差が3となる大一番で、再びの「6ポイントゲーム」と言っても過言ではないだろう。この試合だけが日曜日開催になるので、27節の締め括りでリベンジを果たしてみせたい。
 
構成●古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
 
※渡邉監督の特別コラムは、J1リーグの毎試合後にお届けします。次回は10月1日に行なわれる28節・浦和戦の予定。お楽しみに!