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昨今の住宅市場には、マンション、一戸建てを問わず中古物件が数多く出回っているという。とはいえ、その数は膨大ゆえに玉石混交。2015年の中古住宅の流通量は55.4万件(※推定値「FRK既存住宅流通推計量」(一社)不動産流通経営協会)にも上る。そんな無数の選択肢の中から「本当に価値のある中古住宅」を見つけ出すのは容易ではない。せめて、検索サイトで絞り込んだり、不動産会社に問合せを行う段階で、ある程度「ふるい」にかけられないものだろうか? そこで、中古住宅売買のコンサルティングを行う田中歩さん(あゆみリアルティーサービス)に、プロの視点から「価値ある中古物件」を目利きするポイントを伺った。

中古マンションを買うなら2002年〜2004年ごろの物件が狙い目

と、その前に、そもそも「価値ある中古」とは何か? 田中さんがポイントとして挙げるのは以下の4点だ。

・立地、品質の割に「お買い得」である(値ごろ感、掘り出し物感がある)
・将来的に値下がりしにくい(上がる可能性がある)
・長く、安全に住み続けられる
・自分なりの価値基準にマッチしている

こうした考え方自体は、新築も中古もさほど変わらない。問題はそれをどう見つけるかということだが、中古住宅、特にマンションの場合、注目すべきは「築年数」だという。

【画像1】あゆみリアルティーサービス・代表取締役 田中歩さん(撮影/榎並紀行)

「マンションでいうと、2002年〜2004年くらいに建った、築15年前後の物件がねらい目だと思います。というのも、2000年に建築基準法が改正され、また、住宅の品質確保の推進等に関する法律(品確法)が施行され、住宅の品質基準が大きく見直されました。同時に『住宅性能表示制度』『瑕疵担保責任の10年間の義務付け』『住宅に関する紛争処理体制の整備』といった新たなルールも設けられています。そのころに建った物件であれば、この新しい基準に適合しています」(田中さん、以下同)

【画像2】SUUMOの場合、5年間隔で築年数を絞り込める(画像はSUUMOのウェブサイトより)

加えて、田中さんが分析したデータ(※)によれば、築15年前後は価格的にも値ごろ感が出てくるという。

※東京23区の城南・城西地区(品川区、目黒区、大田区、世田谷区、中野区、杉並区、練馬区)で2016年1月〜2017年6月までに成約した7652件の中古住宅をサンプルに、築年数別の1m2当たりの販売価格を調査

「まず、築5年目までは1年ごとに4万2529円ずつ価格が下がります。その後、築5年〜10年だと1年ごとに2万4881円下がり、築10〜15年になると1年ごとに7239円下がります。築10〜15年目で下落幅が1万円を切ってくる。要するに、底値に近いところまで安くなるのが築15年あたりということですね」

つまり、同データからは「現行の品質基準に適合し、かつ価格的にもほぼ底を打った『お買い得』な物件が、2002年〜2004年築には多く存在する」という傾向を読み解くことができる。

【画像3】旧耐震基準で建てられた物件であっても、各種証明書類が残っている場合は安心できるという。特に、築古になればなるほど「耐震基準適合証明書」を取得している中古住宅は少なく、だからこそ安心材料となるようだ(画像はSUUMOのウェブサイトより)

とはいえ、マンションの場合は管理状況がものをいう。同じ築年数でも、きちんと管理された物件とそうでないものとでは、品質の差が大きく異なるだろう。

「よく『管理状況は駐輪場やゴミ置き場に現れる』なんていいますよね。そこに注目するのもいいんですが、僕がおすすめしたいのは『理事会の総会議案書と議事録』をチェックすること。総会議案書と議事録は、マンションにおける管理の歴史を記した情報の宝庫です。決算の状況、修繕計画の履歴や、住人の考え方、マンションが抱えている課題などが詰まっている。管理会社に問い合わせて、管理組合のOKが出れば閲覧することができます。オープンにしているところは管理状況に自信があるものと考えられますね」

【画像4】また、マンションの場合は共用部の大規模修繕工事が完了しているかどうかもポイントのひとつ。上手に検索条件を絞り込んで探すことで、管理状態の良い物件を見つけやすくなる(画像はSUUMOのウェブサイトより)

中古一戸建てで確認すべきは「修繕履歴」。借地権付きもチェックする価値あり

一方、一戸建ての場合、数字上の築年数はあまりあてにならないという。たとえ築50年でも、小まめなメンテナンスにより、極めて良好な状態を保っているケースも少なくないからだ。

「ポイントは『修繕の履歴』です。SUUMOなどの検索サイトでは、リフォーム・リノベーション済みの物件を絞り込んで探すことができます。特に重要なのは『外装』ですね。築年数が古くても2〜3年以内に外壁や屋根を防水仕様にリフォームしてある建物なんかは狙い目だと思います。というのも、足場を組む大がかりな外壁リフォームは、例えば30坪の一戸建てだと150万円くらいかかります。かといって、そのぶんが販売価格に上乗せされているケースは少ない。つまり、将来見込まれるリフォーム費用が丸々浮くというわけです」

【画像5】リフォームの履歴で絞り込むと、工事内容の詳細もチェックすることができる(画像はSUUMOのウェブサイトより)

また、一戸建てについては「借地権付きの」物件に注目してみるのもおもしろいと田中さん。

「借地権とは、地主に地代を払って建物用の土地を利用する権利を買うことです。地代が毎月かかるといっても、コスト的には土地そのものを買う場合より安いケースが多い。例えば、30坪で時価7000万円の土地を利用する権利が、4000万円で手に入ったりするわけです」

なお、借地権付きの土地はお寺が所有しているケースが多く、都心の寺町などで好条件の物件が見つかることもあるという。購入となると手が出ない都心の土地でも、借地権に絞れば「掘り出し物」に出会えるかもしれない。

【画像6】借地権のうち、一定期間に限って土地を借りる「定期借地権」の物件を検索することができる。数はかなり少ないが、チェックしてみる価値はありそうだ(画像はSUUMOのウェブサイトより)

知名度にとらわれず「古くから人が住む土地」に注目せよ

さらに、マンション、一戸建てに共通するポイントとして、田中さんが重視するのが「立地」だ。

「都心や駅近は資産価値が下がりにくいといわれていて、確かにその通りなのですが、そもそもの価格が高いですよね。そこで、リーズナブルな郊外の土地で選ぶとしたら、『昔から人が住んでいる場所』が狙い目だと思います。やはり、古くから人が住み着く場所というのは地形的に利があるわけです。あまり知られていないエリアであっても、古くから住居が建ち並び、人気を集めていた土地は多いんですよ」

その土地の過去の姿は、ネットだけでなく街の図書館などでも調べられる。さらに、国土交通省のハザードマップなどを駆使し、現在の災害リスクも確認しておけば万全だ。

というわけで、ポイントをまとめると

・マンションは現行の建築基準法や品確法以降に竣工した、2002年〜2004年前後に建った物件が狙い目
・理事会の総会議案書と議事録を閲覧し、管理に問題がないか、大きなトラブルを抱えていないかチェックする
・一戸建ては検索サイトなどで修繕の履歴をチェック。
 築年数に関わらず、2〜3年以内に外壁、屋根をリフォームしている物件はおすすめ
・所有権にこだわらず「借地権」も視野に入れて探すと、希望通りの物件に出会える可能性が広がる
・「昔から人が住んでいた土地」は、地形的に利があると推測できる

以上に留意して探せば、良質な中古物件をある程度は絞り込むことができそうだ。
限られた時間のなかで納得のいく家に巡り合うためにも、こうしたプロの見立て方を参考にしてみてはいかがだろうか?

●取材協力
・あゆみリアルティーサービス●定期借地権についてくわしく知りたい方はこちら
・【住活マニュアル】家を買う・購入する前に知っておきたい住まい関連の諸制度 定期借地権
(榎並 紀行(やじろべえ))