人前では吸ってないから大丈夫、とはならない

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喫煙後、カーテンなどに何らかの形で残ったタバコ残留物から有害物質を吸い込んでしまう「三次喫煙(サードハンドスモーク)」を知っているだろうか。

2010年ごろから米国の大学や研究機関によってその問題が指摘され、厚生労働省などもその存在を認めている。

これまで具体的な健康への影響は不明点も多かったが、カリフォルニア大学の研究者らがマウスを使った実験で有害だと検証した結果を2017年9月15日発表した。

わずか1か月で健康に影響が

三次喫煙を最初に提唱したダナ・ファーバー癌研究所によると、その定義は誰かが喫煙をしたことで生じた煙がカーペットや家具の表面に残り、そこから毒素が発生する状態とされている。

研究者らは以前に行った研究で、三次喫煙に晒されたマウスは骨格筋や肝臓、肺の機能が低下し、怪我の回復が遅くなることを確認していた。しかし、研究期間が短く三次喫煙に晒された時間の長さが与える影響までは検証できていなかったという。

そこで今回の研究では観察期間を6か月以上に設定し、一定の期間で三次喫煙が健康に与える影響を調査した。

まず、カーテン生地やキルト、カーペットなど一般的な家庭の中で見かける布製品を、「ティーグ・スモーキング・マシン」という喫煙によって生じる煙を再現する装置に投入。タバコの煙に晒された状態を再現し、これらの布製品を設置したオリの中でマウスを飼育している。

飼育を開始してから1か月、2か月、4か月、6か月時点でマウスの組織と血液を採取し、血糖値やインスリン濃度、血中サイトカイン量、DNA損傷度、ドーパミン量など24のバイオマーカー(健康状態の指標となる成分の数値)の変化を分析した。

比較のために、三次喫煙環境ではない場所で飼育されたマウスも調査されている。

分析の結果わかったのは、三次喫煙に晒されるとわずか1か月で健康に悪影響が表れるという事実だった。肝臓の損傷を示す酵素のほか、炎症や過剰な免疫反応、関節炎を引き起こす因子、ストレスホルモン値が1.5〜2.5倍になっていたのだ。

2か月経過すると空腹時血糖値の上昇や別の炎症因子の増加、肝臓の抗酸化機能低下、遺伝子損傷などが確認され、4〜6か月後には2型糖尿病の初期症状、脳の遺伝子損傷と肝臓の重大な損傷、ストレスホルモンのさらなる増大も見られた。

こうした結果から研究者らは、「三次喫煙への曝露開始から1か月以内に健康へ重大な影響が及ぼし始め、これらの変化は時間と共に次第に悪化する」とコメントしている。

動物実験による初期の検証ではあるが

三次喫煙の健康への潜在的なリスクを示した今回の研究だが、マウスによる実験であり検証はまだ初期段階とも言える。

糖尿病リスク上昇や内臓損傷、遺伝子損傷など無視できない影響が多数確認されているが、マウスと人に遺伝的な類似点があるとはいえ同一ではないため、結果がそのまま当てはまるかはわからない。また論文の査読者からは「6か月でも十分な期間とは言えないので、さらなる長期間の検証を行ったうえで健康への影響を判断すべき」との指摘も出ている。

研究者らもその点は認めており、今後は人を対象とした長期間の比較追跡調査を行いさらに厳密な検証を進めるとしていた。

研究資金を提供したカリフォルニア州の保健機関「タバコ関連疾患研究プログラム」は研究結果を受け、

「あなたが喫煙者の場合、室内ではタバコを吸わないでください。また、子どもがいる場合はすぐに禁煙に取り組んでください」

との声明を発表した。