23日の浦和vs鳥栖で、開始40秒に素晴らしい得点が生まれた。鳥栖FWの田川亨介はペナルティエリアに走り込むと、小野裕二からのパスに合わせて豪快に左足を振り抜き、西川周作が守るゴールを破ったのだ。

さらに80分、今度は抜け目ない動きで田川は2点目を挙げる。GK権田修一のロングフィードを浦和の選手がヘディングで後逸すると、まるでボールがこぼれることがわかっていたかのように突進し、飛び出してくる西川の頭上を抜いてゴールまでボールを運んだ。

試合後、田川は1点目から振り返った。「監督の指示であそこのスペースが空いてくると言われていたので、そこを意識しながら走って、そうしたら(小野)裕二君からいいボールが出てきたので。シュートも……」。田川はそこまで言うとはにかみながら「よかったかな、と思います」と続けた。

2点目は「ゴン(権田)さんがいつもあそこは見てくれていたので、走り出せば必ずボールは出てくると思っていたので、相手もミスしてくれて走った甲斐があった」と、練習の成果だったという。

181センチ、70キロの恵まれた身体で、2016年には高校生ながら2種登録選手としてトップチームに合流する。初出場は第2節、アウェイの川崎戦で63分に途中出場すると力強いドリブルでゴールを目指した。初ゴールは第6節、ホームの新潟戦。9分間の出場ながら鎌田大地からのパスを受けてドリブルで進み、左足でネットを揺らした。

だが、そこからは長かった。韓国で開催された今年のU-20ワールドカップの日本代表に選ばれイタリア戦に出場したものの不完全燃焼。チームに戻っても、今季まだフル出場はなく、新潟戦のあとは1ゴールも奪えなかった。

多くの記者に囲まれたときは冷静に見えた田川だったが、1人になったとき、実は1点目のゴールを「あまり覚えてないんですよね。真っ白でした」と打ち明けた。

2点目は交代選手がタッチラインにいて、ボードに自分の背番号が映っているのも見えていたそうだ。だから「最後、すごく走ってスッキリして終わろう」と決めたという。そこにボールが来たのだから、運を引き寄せたとも言えるだろう。

「新潟戦のあとはずっとゴールが取れなくて、課題もあるし、今も悩んでるんですけど、このゴールは大きかったかなと思います。でもまだまだ足りないところばっかりで、それを改善していければ」

まだあどけない田川にとって幸いなのは、キャプテンの高橋義希を初めとして厳しい先輩たちが揃っていることだろう。浦和から2ゴールを挙げて「自信になった」と言うが、うぬぼれは許されない環境だ。マッシモ・フィッカデンティ監督から戦術的指導を受け、着実に力を付けてきた結果が出始めている。

【日本蹴球合同会社/森雅史】