日仏自動車連合のトップを務めるカルロス・ゴーン氏はEV競争を勝ち抜く自信を示した(写真:ロイター/アフロ)

「われわれは今後も電気自動車(EV)のリーダーだ」

仏ルノー、日産自動車、三菱自動車の3社連合は9月15日、アライアンスとして初めて、2022年までの中期経営計画を発表した。

連合の会長を務めるカルロス・ゴーン氏はこれまで取り組んできたEV戦略の妥当性を強調したうえで、新たに12車種のEVの投入を宣言。3社協業で複数の車種に展開可能な専用の共通プラットホームも用意し、EV化を一気に加速させる方針を示した。

EV累計販売は50万台超で世界トップ


日産が刷新したEV「リーフ」。フル充電での航続距離は従来比4割増の400kmに伸ばした。(撮影:大澤誠)

日産は早くからEVに着手、2010年に発売しこの10月に初めて全面刷新する「リーフ」の累計販売は約28万台で世界トップだ。昨年アライアンスに加わった三菱自は2009年に世界初の量産型EV「アイ・ミーブ」を発売し、ルノーもEV「ゾエ」が欧州で最も売れており、3社のEVの累計販売は50万台を超える。

もっともゴーン氏が以前掲げた2016年度までのEV販売目標150万台には遠く及んでいない。航続距離や充電インフラの問題で、EVに対する消費者の支持が得られなかったためだ。

ただ足元は追い風が吹いている。世界的な環境規制で、英仏両政府は2040年までにガソリン車販売を禁止すると決めたほか、世界2大市場である中国と米国もEV優遇に大きく舵を切ってきた。これに各自動車メーカーも呼応。独フォルクスワーゲンは今月、2025年までにEVとプラグインハイブリッド車(PHEV)を世界で30車種販売するとしていた従来の計画を拡大し、EVだけで50車種を投入すると発表した。EVシフトの動きが速まっている。

一方、EVはガソリン車に比べて構造が単純だ。部品点数は約4割少なくなるとされ、コモディティ化(汎用品化)しやすい。参入が容易となり、競争激化を招くことは必至だ。

テスラやBYDなど新興勢力が次々台頭


米テスラが初めて普及価格帯に投入した「モデル3」。同社は2018年にEV年産50万台を見込む(写真:テスラモーターズ)

EVベンチャーの米テスラは今年7月から納車を始めたEV「モデル3」の受注台数がすでに日産リーフの累計販売台数を超えた。中国は国策として自国産業の育成を進め、BYDなど新興勢力の台頭が著しい。

これに対し、ゴーン氏は記者会見で「自動車産業はこの先10年で、過去50年よりも多くの変革を経験する」と指摘。今回の中計では、EVと親和性が高く、ドライバーの運転への関与が不要な完全自動運転を2022年に実現することや、コネクテッド技術、モビリティサービスの強化策にも併せて言及し、総合力で勝負していく考えを示した。


武器とするのがスケールメリットだ。2017年上期は3社連合で初めて世界販売台数トップに立ち、2022年までに4割増の年間1400万台に伸ばす計画だ。EVなど電動車が販売に占める割合を3割まで高め、電池コストは30%削減を目指す。浮いたコストは車の付加価値向上に回すのが“ゴーン流”だ。

100年に一度の転換期を迎えた自動車業界。先の見えない戦いが始まった。