9月13日のAPOEL戦でCLデビューも飾ったマジョラル。微妙なオフサイド判定でゴールが認められない不運があったものの、わずか8分の出場で見せ場を作った。(C) Getty Images

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 現在、レアル・マドリーのトップチームには7人のカンテラーノ(カンテラ出身者)が在籍している。トップ登録23人のうち7人だから、かなりの数だろう。

 7人の中でレギュラーは、右SBのダニエル・カルバハルただひとり。それでも、CBと左SBをこなすナチョはDFのマルチロールとして不可欠な戦力で、右ウイングのルーカス・バスケスは、派手さはないものの守備でも尽力するハードワーカーとしてジネディーヌ・ジダン監督のお気に入りの選手だ。また第2GKのキコ・カシージャは堅実なセービングに定評があり、質の高いターンオーバーを機能させる貴重なピースである。

 いまや世界最高の右SBとの声もあるカルバハルはもちろん、他の3選手も昨シーズンの2冠達成に貢献を果たしている。

 この4人に加えて今夏には、3人のカンテラーノが新たに加わった。守備的MFのマルコス・ジョレンテとCFのボルハ・マジョラルはレンタルバック、右SBのアシュラフ・ハキミはカスティージャ(Bチーム)から引き上げられた昇格選手だ。

 M・ジョレンテとマジョラルはいずれも15-16シーズンにマドリーの選手としてリーガ・デビューしているが、当時はカスティージャ所属でトップ登録されるのは今シーズンが初めてである。

 このうちマジョラルのスカッド入りは少々意外だった。昨シーズンに武者修行に出たヴォルフスブルクでは、ほとんどインパクトを残せなかったからだ(19試合出場で2得点)。

 少なくとも、アラベスで株を上げたM・ジョレンテや、同じくレンタル先のフランクフルトでめざましい活躍を見せたCBのヘスス・バジェホ(15年夏にサラゴサから移籍)のように、当初からメディアやファンに今シーズンの戦力として期待されていたわけではなかった。

 今年6月には、スペインU-21代表の一員として欧州選手権に出場し、チームは準優勝を果たしているが、この大会でも現在マドリーでともにプレーするマルコ・アセンシオやダニ・セバジョス、バジェホのように評価に値するパフォーマンスを披露したわけではない。

 しかし、それまで影が薄かった20歳の点取り屋が、シーズン序盤戦から懐疑的な見方を覆す見事な活躍を見せている。リーガ2節のバレンシア戦で早速プレータイムをもらうと、カリム・ベンゼマが怪我で欠場した4節R・ソシエダ戦ではスタメン出場し、2ゴールを挙げて(2点目はオウンゴールの判定)抜擢に応えてみせた。

 とくに印象的だったのが貪欲にゴールを狙う積極的な姿勢で、鋭い得点感覚も実証。続く5節のベティス戦でも、点が欲しい0-0の終盤戦に投入されており、ジダン監督の信頼を掴みつつあるのは確かだろう。

 早くも初黒星を喫したそのベティス戦を含め、リーガではホーム3試合で勝ち星なしと出だしで大きく躓いたマドリーにあって、マジョラルの健闘は数少ない光明のひとつである。
 もっとも、カンテラ出身のストライカーがこのクラブで成功を勝ち取るのは、極めて難しいという事実から目を背けるわけにはいかない。1990年代以降で大きな功績を残したストライカーは、ラウール・ゴンサレスくらいのものだ。

 自他ともに認める世界最高のクラブであるマドリーには、つねに超一流の外国人CFが在籍していた。ダボル・シュケル、プレドラグ・ミヤトビッチ、ロナウド、ルート・ファン・ニステルローイ、ゴンサロ・イグアイン、そして現在のカリム・ベンゼマ……。そんな環境下で、実績に乏しい若いストライカーがのし上がっていくのは至難の業である。

 ジダン、ロナウド、ルイス・フィーゴらを擁し、銀河系選抜と謳われた2000年代初頭から半ばにかけて、チームにはハビエル・ポルティージョというカンテラ出身の若い点取り屋がいた。