仲間と勝利を喜ぶ香川真司【写真:Getty Images】

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 ボルシア・ドルトムントは現地時間23日、ボルシアMGに6-1と大勝した。途中出場でピッチに立ったMF香川真司は、アピールしにくい条件がそろってしまったようだ。(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)

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64分、香川投入。スコアはすでに…

 香川真司が呼ばれたのは64分。試合が終わるまでまだ30分近くの時間があったが、ボルシア・ドルトムントの勝利は確定的だった。電光掲示板に映し出されていたスコアは5-0。“新鋭”マキシミリアン・フィリップの2ゴールと、エースFWピエール=エメリク・オーバメヤンのハットトリックで、ボルシアMGを突き放していた。よほどのことがない限り、逆転劇は起こり得ない。ブンデスリーガ第6節。スタジアムのテンションも穏やかなハイを保って、ゲームは終盤に突入しようとしていた。

 右ウイングのクリスティアン・プリシッチに代わって、背番号23はピッチに入った。

「試合はこれから続くので、少しでもアピールするっていう気持ちを持ちながら、試合に入りました」

 しかし5-0と決定的に点差が開いた状況で、チームの勢いも落ち着いていた中では、なかなか「アピールする」ことは難しかったようだ。

「もちろん自分1人でやるサッカーではないので、5-0になっちゃうと、やっぱりちょっと一転して落ちちゃうところはあるし、精度も落ちちゃうところはあるので、それはしようがないですし。ただ、自分はそういう中でどれだけ、やれることをやらなきゃいけないですし、そういう中でバランスを見ながら、行くところは行きたかったですし、点を取るところは取りたかったですけど。まあ、それは残念ながら、結果としては付いてこなかったですけど」

 そのまま右ウイングに入った香川。しかしアウトサイドに張らず、どちらかと言うと内側にポジションを取った。そこには先発したマリオ・ゲッツェがいたが、背番号10が下がり気味になることで、両選手はバランスを取ろうとしたようだ。

 香川は、ボールを持てばサイドに展開し、エリアの中に入っていくことを意識した。だが周囲はテンションの落ち着いた仲間たち。固い守備ブロックを崩し、虎視眈々とゴールを狙う時間帯は過ぎ去っていた。空回りとまでは行かなくとも、背番号23を中心に、連動性が発揮されることはなかった。

延焼を防ぐことを選んだボルシアMG。効果的なスペースはなし

 5失点と炎上中だったボルシアMGが、これ以上の延焼を避けるため、自陣深くに引いたことも、難しさに拍車をかけたようだ。

「相手もあんまり攻めに来ずに、これ以上やられたくない感じはあったので、しっかりと守備もリトリートしていたので、なかなかスペースはなかったですけど。まあ、だから点は取りに行きたかったですけどね。なかなかスペースもあまり効果的なものはなかったです」

 香川が投入された直後の66分、ラース・シュティンドルが1点を返したが、気休めにもならなかった。ドイツ代表FWの一撃は反撃の狼煙になり得ず、大観衆の声の中、わずかな存在感を放ったに過ぎなかった。戦意を失った対戦相手。であればもう1点を奪えそうだったが、なまじ引き籠ってしまったために、効果的なスペースを見つけることは難しかったようだ。

 6点目を決めて、止めを刺したのはユリアン・バイグル。79分、エリアの手前でセカンドボールを拾って、そのままミドルシュートを突き刺した。

 もちろん5-0となった後の30分間で「結果」を残せなかったからと言って、ペーター・ボス監督の香川への評価に影響はないだろう。勝敗の行方は既に決まっていた中での投入だった。選手個人にとっては、0-0のこう着状態や、リードを許して逆転を狙う状況での投入よりも、やりにくさはあるかもしれない。

 ボルシアMG戦は割り切って、26日に予定されるチャンピオンズリーグ、レアル・マドリー戦に備えたいところだ。

(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)

text by 本田千尋