うつを改善する「あばたもえくぼ」の意味

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うつやメンタル不調の原因は、脳の「扁桃体」の興奮にあるとみられている。興奮をおさえる方法のひとつに「顔表情イメージ」がある。恋をしたときに相手が実物よりよく見えるように、「好ましい表情」を思い浮かべることで、周囲の人との関わりにいい影響があるという。具体的な方法を、日本メンタル再生研究所の山本潤一所長が紹介する。

■「顔表情イメージ」で扁桃体は安定する

うつ・メンタル不調の原因である慢性ストレスは、脳内の感情発生装置である扁桃体(へんとうたい)の慢性興奮によって作り出されます。そして弊社顧問・筑波大学名誉教授、宗像恒次博士の研究では、扁桃体は身体感覚を良好化することによって鎮静化し、うつ・メンタル不調を作り出す慢性ストレスを消失させることができるのです。

春の心地よいお日さまが降り注ぐ中で芝生の上に寝っころがっているとき、気持ちいいなあと言う気分になることでしょう。心地よい日差し、そして気持ちの良い芝生という「快感刺激」によって身体感覚は良好化し、身体からの快感信号が扁桃体に快感感情を発生させるのです。

実はこの時、脳内ではもう一つのシステムが機能しています。「気持ちいいなあ」と感じているとき、脳内では無自覚ですが「好ましい顔表情イメージ」が作り出されているのです。これがうつ・メンタル不調を改善するのに役立つのです。

恋をしたときには相手が実物より「かわいく」、または「ハンサム」に見えるという、「あばたもえくぼ」状態に陥っていることは以前解説しました。このような認知のゆがみが作り出される理由は、恋をした時には「胸がドキドキ」「顔が火照る」などの身体良好感覚に覆われているため、脳内に「好ましい顔表情イメージ」を作り出すためと考えられているのです。この「好ましい顔表情イメージ」のフィルターを通して、相手の顔を見るために相手の顔が実物以上に「かわいく」「ハンサム」に見えてしまうのです。

うつ・メンタル不調、生きにくさを抱えている人は、全身かまたは身体のどこかの部位が非常に緊張しています。そのために脳内には無自覚にも「嫌悪するような顔表情イメージ」が映し出されているのです。このフィルターを通して周りの人の顔を見るので、周りの人が皆怖く、安心できない存在に見えるという「認知のゆがみ」が起きているのです。

身体感覚とは潜在意識を表しこれを良好化することで、「扁桃体」を鎮静化しメンタルを解決することができるのです。初心者にも簡単にできる簡易な方法をご紹介します。

■「顔表情イメージ」セラピーでうつ改善

以下のワークは目を閉じて行います。紙と筆記用具をご用意ください。

(基礎理論・宗像恒次、作成・山本潤一)

(1)あなたは今、野外温泉に入っているとします。あなたが好きな時間帯の温泉です。朝日を浴び、または日中の太陽を浴び、または夕方の太陽を浴び、または夜の月や星の光を浴びて入っています。心地よい風が吹き、あなたが好きな香りが漂っています。体中がほぐれています。どんな気持ちがしますか?
凡例・「気持ちいいなあ」「ほぐれるなあ」「ほっとするなあ」「あったまるなあ」など。

(2)あなたが心地よい気分に浸っているとき、温泉の中の誰かがふっとあなたを見ました。その人はどんな表情であなたを見ていると感じますか?
凡例・「穏やかな顔」「ほほ笑んだ顔」「笑顔」「親しみを込めた顔」など。

(3)その顔表情イメージを紙に描いてみましょう。大ざっぱで構いません。
1)顔の輪郭は? 丸顔、卵型、細面、ホームベース型、など。
2)目の形は?  弧を描いている、たれ目、大きな目、小さい目、など。
3)口の形は?  大きい、小さい、口角が上がっている、口が開いている、など。

(4)(3)で描いた顔表情を見ているとどんな気持ちがしますか?
凡例・「安心する」「穏やかになる」「うれしくなる」「落ち着く」「元気が出る」など。

(4)がうまくいくと、扁桃体が少し鎮静化したことを意味します。あなたの心は少し穏やかになっています。扁桃体は「顔表情イメージ」に反応して、鎮静化するのです。もしうまくいっていない場合は、(1)からやりなおしてみてください。

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山本潤一(やまもと・じゅんいち)
日本メンタル再生研究所所長、うつ・メンタル不調解決支援セラピスト
1958年、北海道生まれ。情動認知行動療法研究所客員研究員。20代から、大手ビジネスマン向け人材教育会社に勤務した後、独立。多くの企業に心理セラピストとして予防研修や集団メンタルトレーニング、個人メンタルトレーニングを提供。近著に『不安遺伝子を抑えて、心がす〜っとラクになる本』がある。

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(日本メンタル再生研究所所長、うつ・メンタル不調解決支援セラピスト 山本 潤一)