抱きしめると分泌するホルモン『丁寧な言葉』からも生まれる

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吉元由美の『ひと・もの・こと』

作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さん。先生の日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。

たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…様々な『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。

幸せホルモン〜オキシトシンというギフト

オキシトシン。愛情ホルモン、幸せホルモンと呼ばれているホルモンについてよく知られるようになったのは、ここ数年のことではないかと思います。脳から分泌され、神経伝達物質の役割も果たし、疲れやストレスを和らげて幸福感をもたらしてくれる。私たちにとって、セロトニンと同様に健康上も精神的にも重要なホルモンです。

お母さんが赤ちゃんを抱っこする時。これは究極ですね。好きな人との心地のいいスキンシップはもちろんのこと、エステやマッサージなどでもオキシトシンが分泌されるそうです。もちろんペット、動物たちも愛しさを感じさせてくれます。スキンシップだけではなく、人に優しくしたり、親切にしたり、相手を思いやり感動を高めるとオキシトシンの分泌は高まり、より幸福感を得るようになるのです。

オキシトシンの存在を知った時、心が震えました。人間がオキシトシンという機能を備えているということは…人間は人と触れ合い、人に優しくすることによって幸福感を得るようにできている…ということです。このように作られていること…すごいことだと思いませんか? これは遺伝子研究の第一人者である筑波大学名誉教授の村上和雄先生がいうところの、サムシンググレート(遺伝子のプログラムを司る何ものか)からのメッセージ、そしてギフトのように思えてなりません。

作詞の仕事をしていて感じるのですが、最近の歌にはラブソングらしいラブソングが少なくなっています。応援歌や、自分を鼓舞するようなテーマの歌が多く、切々と恋心を歌った歌をあまり聞かなくなりました。これは若い人たちの恋愛観にも感じられるように思います。私が十代だったころは(もはや昔話ですが)、誰かを好きになるというのは大事で、「つきあう」ことの重みがありました。いまの十代の人たちの話を聞くと、相手に対する愛着が『軽やか』な印象があります。

また、インターネットの時代、居ながらにして仕事も買い物もでき、メールでコミュニケーションがとれ、1人で楽しむことができます。直接言葉を交わし、触れ合うコミュニケーションは少なくなっているかもしれません。

恋愛しづらい時代。インターネット社会。そしてストレスフルな社会。この時代のオキシトシンの分泌量はどうなのでしょうか。人と人との豊かな心の交流の中に、豊かな社会が築かれる。そういう意味で人に優しく、親切にするという、基本的な『心』を大切にする…。ひとりひとりの意識が影響しあって、社会を創っていくのではないでしょうか。

その実践方法の1つとして、言葉を整えるということがあります。心がざわざわした時、ストレスが溜まった時ほど、丁寧な言葉を使うのです。丁寧な言葉を使うことによって心は穏やかになります。丁寧な言葉を使った人も、言葉をかけられた人も言葉のあたたかさに包まれます。これもオキシトシン効果ですね。感じようと思えば、いま、この瞬間にも幸せ感はここにあるのです。

作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー

[文・構成/吉元由美]

吉元由美

作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
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⇒ 単行本「大人の結婚」