年を取ったら人間関係はどう整理すべきか

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『黄昏流星群』『島耕作』シリーズなどで知られる漫画家の弘兼憲史氏は70歳を迎え「人間関係のスリム化」を説く。要するに、その年齢になってまで広範な人間関係を維持することには無駄が多いし、余計なカネもかかるという意見だ。同氏はさらに、配偶者と同居していても「家庭内一人暮らし」を検討すべきと説く。

 ただし、それを提案する弘兼氏のように“人間関係をスリム化した70代”になるためには、最低限必要な「備え」がある。

 著書に『親には一人暮らしをさせなさい』がある民生委員の三村麻子氏は、こうアドバイスする。

「一軒家の場合は両隣と前後の家には、自分が一人暮らしであることと、何かあった時に連絡する家族や親戚の連絡先を知らせておく。実は、一人暮らしであることを周りにきちんと伝えていない人は多く、近隣の方が異変に気付いても家族に連絡が取れずに初動が遅れてしまうことがあります」

 家族の立場からすれば、“一人にしておくのは心配。一緒に暮らしたほうがいいんじゃないか”と考える。「最低限の備えがある」と説明できることが、煩わしい家族関係からも解放されやすくなる条件だ。

 三村氏は、各自治体が設置する「地域包括支援センター」や交番にも連絡したほうがいいという。

「地域の民生委員を紹介してもらっておくだけでもいい。“何かあっても大丈夫”と心強い気持ちになれば、“一人暮らし”を楽しみやすくなる」

 日常生活のなかで気をつけておくべきは「火」の問題だ。火事になったら、自分だけではなく近隣住民をも巻き込むことになる。

「キッチン周りは最新のものに買い替えることを勧めます。ガスコンロを最新のものに変えるだけでも、点火しっぱなしだと自動的に消える機能や吹きこぼれ防止装置があって、安全性が大きく違います」(同前)

 民間のサービスを利用するのも有効だ。警備保障会社「セコム」の「高齢者見守りサービス」や、電気ポットを使うことで家族に安否情報が届く「象印マホービン」の「みまもりほっとライン」など、選択肢は増えている。

「ヤクルトでは、商品を届ける販売員が安否を確認する“愛の訪問活動”を自治体とも提携してやっており、全国の4万人以上のお年寄りが利用しています。『倒れたところに出くわした』『ガス漏れに気づいた』といった報告例もあります」(同前)

「備え」があってこそ、身軽な老後が楽しめるのだ。

 三村氏は、特に男性には「70歳イコール20歳」説があると忠告する。

「奥さんが亡くなったり、離婚したりしてそれまで奥さんが管理していた年金や資産を自分が管理するようになると急に気が大きくなる人がいます。ちょうど男の子が20歳になって“大人だ、何でもできる”と思い始めた頃に似ているといわれ、その頃と同じ過ちをするものです。その自覚を持ったうえで、一人の生活を楽しんでほしいです」

※週刊ポスト2017年9月29日号