質の高いプレーも見せたポドルスキだが、ミスも多く、ゴールを演出することはできなかった。写真:川本 学

写真拡大 (全3枚)

 過去2年間、川崎は荒い芝生と高い強度でプレスに来る神戸の戦いに苦戦し、ノエビアスタジアム神戸で敗北を喫している。それも、重要な後半戦の試合において、である。
 
 主導権を握って攻め込む川崎のスタイルからすると、この相手と環境に対する相性は良くない。そして今季もまた、勝利を奪うことができなかった。ボールを持つ時間はいつもより長くはないが存在しながらも、決定機と呼べる決定機を作ることができず。逆に、ピンチはあったなか、守護神であるチョン・ソンリョンの好セーブに救われた形だ。
 
「(失点を)ゼロで抑えたことは良かったんですけど、僕ら(攻撃陣)もゼロだったのは守備陣に申し訳ない」と中村は振り返った。得点を匂わせる怖いプレーを出せなかった一方で、間違いなく決定機は神戸のほうが多かった。
 
 8分の田中順也のヘディングや、62分にポストを叩いた渡邉千真のシュートは“あわや”の場面だった。85分にゴール前の混戦でポドルスキが倒れ込みながら放った左足も、絶妙に距離を詰めていたチョン・ソンリョンが身体に当てて事なきを得たという形だ。
 
 この3回のうち、神戸の10番・ポドルスキが関わったのは2回である。最大のチャンスと言っても過言ではなかった田中のヘディングシュートは、右サイドに流れたポドルスキの絶妙な左足クロスから生まれたものだ。質の高さを証明するワンプレーだった。ただし、この日は信じがたいパスミスも多かったのも事実だ。
 
そんな相手のキーマンを、川崎の中村はどう見たのか。
 「クオリティは、当たり前ですけど高いので(笑)。左足をフリーで持たせればいいボールは出て来るし、前に立とうという話をしていた。前半でヘディングに合わせられるボールもありましたけど、90分の中でそういうシーンは1回はあるかなと思っていた。そこをソンリョンが止めてくれたし、それ以外は前に立ちながらちゃんとやれていたと思います」
と、今回に関して自分たちの準備が勝り、“想定内”であったと語る。
 
「まずは彼にボールを持たせないように自分たちがボールを持つというところからスタートをしました。前半なんかは(ポドルスキに)ほぼボールを触らせていないくらいの域で自分たちが支配をしていた。試合前から“ボールをもたせたら怖いですけど、持たせなければ良い”と。あれだけボールを触れないのはそうないのかなと。それは自分たちの思い通りと言えば思い通り」
 
 ドイツ代表として3度のW杯に出場したアタッカーを自由にさせなかったという部分は感じているようだ。ただ、やはり悔やむべくは攻撃のところである。
 
「いつもだったら得点を重ねて突き放しているところだけど、前半をゼロで終わってしまったことで我慢をしなければいけないという話はしていたし。そのまま0-0で終わってしまったのが残念」
 
 首位、鹿島が劇的な勝利を収めたことでその勝点差は「8」に開いてしまった。タイトルが遠のいてしまった事実が、世界的スターとの対峙の余韻も薄めることになってしまったのは間違いない。
 
取材・文:竹中玲央奈(フリーライター)