「○○だから安全」という食品神話には、こんな “リスク” が隠れている! 科学ジャーナリストの松永和紀さんが「加熱していれば安全」「冷蔵・冷凍してあれば安全」の間違いを指摘する。

●一晩寝かせたカレーは、ウェルシュ菌の危険が!

 自然界に広くいるウェルシュ菌は、加熱されると多くは死ぬが、一部は「耐熱性芽胞」という形で生き延びる。芽胞を作る際に毒素を生み、100°Cで1〜6時間、加熱しても死なず、下痢や腹痛を引き起こす。

「ウェルシュ菌は空気が苦手。カレーのようにとろみのあるものはかき回すのが難しく、空気の届かない鍋の中のほうは、菌にとって増殖する絶好のコンディションになります。家庭より、大量に作る飲食店や施設での発生が多い食中毒です」

●アイスクリームで、リステリア菌感染の危険が!

「リステリア菌は、冷蔵庫内や高い塩分の中でも増殖できます。私たちは冷蔵されているもの、塩辛いものならば安全と油断しがちですが、米国ではアイスクリームによるリステリア菌食中毒事件も起き、死者が出ています」

 米国では年間、約500人が、リステリア菌が原因で死亡していると推定されている。しかし日本では統計上、リ ステリア菌食中毒は発生していないことになっているから恐ろしい。

●おせち料理は、ノロウイルスの危険が!

 2011年の年末、北海道の高級ホテルが、予約されていた1300台のおせち料理の販売を急遽、取りやめた。

「調理者の一人にノロウイルスの感染者が出たためです。作って時間がたってから食べるおせち料理は、食中毒の感染源になるリスクが高いので、厳戒態勢で作られています」

 ノロウイルスは食品内では増えないが、食べた人の体内で増え、嘔吐や下痢などの症状を引き起こす。感染をきっかけに体調を崩したり、嘔吐物をのどに詰まらせ窒息したりして亡くなる人もいる。

松永和紀
『効かない健康食品 危ない自然・天然』(光文社新書)の近著がある
(週刊FLASH 2017年9月5日号)