井上拓斗、金子祐樹【写真:平野貴也】

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ヨネックスOP、日本勢男子唯一の決勝「名前を覚えてもらうのは嬉しい」

 オレたちもいるぞ! 男子ダブルスの伏兵が、初の決勝進出で存在をアピールした。バドミントンの国際大会BWFスーパーシリーズ第8戦「ダイハツヨネックスジャパンオープン2017」は23日に東京体育館で各種目の準決勝を行い、男子ダブルスの井上拓斗、金子祐樹組(日本ユニシス)がロシアの長身ペアを2-1(12-21、21-18、21-19)の逆転で制して初のスーパーシリーズ決勝進出を果たした。

 同種目では、8月の世界選手権で銅メダルを獲得した「ソノカム」ペアこと、園田啓悟、嘉村健士組(トナミ運輸)の活躍が期待されていたが、前日の準々決勝で敗退。井上、金子組は、敵討ちを果たすとともに日本勢男子で唯一、決勝まで勝ち残った。これまで世界最高峰のスーパーシリーズでは8強止まりだったが、一気に壁を2つ破った。

 準決勝で対峙した世界ランク13位のロシアペアは、後衛のウラジミール・イワノフが197センチ、前衛のイワン・ソゾノフも身長184センチと大柄。対する日本は、後衛の金子でも179センチ、前衛の井上は163センチと小柄だ。第1ゲームは、上手く対処できずに中盤で引き離されて先取されたが、井上が「2ゲーム目から相手の強打をレシーブして、自分が積極的に前に入って攻撃の形を長く作れたことが勝利につながったと思う」と話したように、第2ゲームからは接戦の中でも主導権を握って試合を展開した。ファイナルゲームは、8-2と序盤でリードした後に6連続失点で追いつかれるなど苦しんだが、冷静な対処で乗り切った。

 千載一遇の好機を得た、ダークホースの躍進に見える。井上、金子組は、世界ランク17位。世界選手権で国内のライバルである保木卓朗、小林優吾組(トナミ運輸)を破って16強入りするなど活躍を見せ始めているが、まだ世界トップクラスの実績を挙げているとは言えない。ただ、6月にスーパーシリーズ第6戦のオーストラリアオープンで8強入りするなど手応えはつかんでいた。

最近躍進も胸中は? 「一過性のものだと思われているんだなとモヤモヤしていた」

 金子は「周りには、オーストラリアオープンでリオ五輪の銀メダリストを破ったり、USオープンで優勝したり、全日本実業団選手権で園田、嘉村に勝ったりということで『最近、調子良いね』と言われることが多かった。でも、自分の中では調子ではなく積み重ねて来たもの。調子が良いと言われているということは、まだ実力が認められているのではなく、一過性のものだと思われているんだなとモヤモヤしていた」と秘めていた自信をのぞかせた。

 この大会では当初、1回戦で第1シードの世界ランク3位リー・ジュンホゥイ、リゥ・ユチェン組(中国)と対戦予定だったが、中国ペアが出場を辞退。混戦のブロックを勝ち上がった印象だが、井上は「第1シードの選手たちが出ていても(絶対に)勝てない相手じゃない。どの相手も紙一重。だから、それは気にしていない」と意地を示した。

 大会は、翌24日に全種目の決勝戦を行う。国内開催の大会では最も注目を浴びる1日となるが、そこでコートに立つ喜びは格別だ。金子は「日本でやっていて、たくさんの応援があるからこそ、最後のファイナルの終盤で勝てたと思う。日本でやっているということは、大きいと思う」とファンの後押しを感じていることを明かした。園田、嘉村を筆頭に、少しずつ日本の男子は女子に負けずに結果を出し始めている。

 井上は「名前を覚えてもらうのは、嬉しい。ソノカムの陰に僕らと保木、小林は隠れていると思うけど、負けずに同じ位置でやって行きたいと2ペアとも思っている。女子が注目されているので、男子も強いんだぞと思ってもらえるように、男子ダブルスは(みんなで)頑張っている」と話した。最終日には、男子ダブルス、女子ダブルス、混合ダブルスの3種目で日本勢が決勝に臨む。何組が栄光をつかめるのか、楽しみだ。