「北朝鮮の人びとは、外の世界のことを何も知らない」

このような強固なステロタイプとは異なり、北朝鮮には海外からの情報がかなり流入している。映像コンテンツは、韓国や中国からのテレビ放送を直接受信して得るケースもあるが、記録媒体に保存されて持ち込まれるのが一般的だ。その記録媒体を、北朝鮮国内に大量に届けようとする取り組みがある。

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韓国メディアによると、韓国・ソウルの民間団体「北朝鮮の政治犯収容所の犠牲者家族の会(No Chain)」は17日、軍事境界線にほど近い地域から北朝鮮に向けて、USBメモリ1000個と、ビラを入れた風船350個を飛ばした。

USBメモリには、海外情報と北朝鮮の核兵器開発について知らせる動画、画像、ハリウッド映画が保存されており、ビラには聖書から抜粋した内容が印刷されている。

この団体のチョン・グァンイル代表は聯合ニュースの取材に、風船にはGPSが付けられており、すべて金剛山地域に落下したことがわかったと明らかにした。

No Chainは、米国の人権財団(Human Rights Foundation, HRF)と共同で、このようなプロジェクトを行ってきた。今回飛ばされたUSBメモリは、米イェール大学、ワイオミング州の高校、民間団体などが寄付したものだ。チョン代表は、北朝鮮に情報を流入させることの重要性を問き、このような活動を行っている。

北朝鮮に情報を流入させるプロジェクトは、軍事的圧力、経済制裁、対話と並行して、北朝鮮をじわじわと内部から変化させることを目的に行われてきた。

実際、韓流ドラマや映画、バラエティ番組などの映像コンテンツや、韓国、米国からのラジオ放送は、北朝鮮の人々の意識を大きく変化させた。例えば、保安員(警察官)による家宅捜索に対して、令状の提示を求める人が現れたのはその端的な例と言えよう。

情報流入の重要性は変わらないが、課題もある。

北朝鮮では、ご禁制の韓流ドラマなどの動画ファイルを保存、流通させるために様々なメディアが使われてきた。当初はVCDが使われていたが、容量の問題などでDVD、USBメモリが主流となった。

しかし、当局の取り締まりを避けるため、今ではマイクロSDカードが主流となっている。高品質なものは耐久性に優れており、多少衝撃を加えても問題はないが、USBメモリに比べると割高な点がネックになりうる。ちなみに前述の人権財団では、マイクロSDカードの寄付も受け付けている。

このようなプロジェクトも、韓国国民全体の理解を得ているとは言い難い。風船やビラを飛ばす地点周辺の住民は、北朝鮮からの攻撃の危険に晒されるとして猛烈に反発している。