クラブW杯決勝では、レアル・マドリーと延長戦にもつれ込む好勝負を演じた。(C)SOCCEER DIESGT

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 鹿島OB対談の第5回は、クラブワールドカップの決勝や鹿島の歴史に話が及んだ。Jリーグ発足当時から鹿島に所属していた石井氏の目に、神様ジーコはどう映ったのか。また、ジーコスピリットがどうやって植え付けられたのかが明かされる。
 
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岩政大樹 クラブワールドカップのレアル・マドリー戦でセルヒオ・ラモスが退場にならなかった件で、会見の時に「レフェリーに勇気がなかった」と発言していますね。
 
石井正忠 あれは素直にレフェリーのジャッジに対して言っただけです。正直、戦っていて差は感じていたので、ひとり退場になろうが、そんなに変わらなかったと思っています。
 
岩政 言うか言うまいか考えたと思いますが、なぜ言う決断をしたんですか?
 
石井 選手たちを称える意味も含めて、あそこでは言うべきだと思いました。
 
岩政 確かに、あれは監督の立場でしか言えないことですよね。モウリーニョもよくやりますけど、感情的にレフェリーを批判しているのではなく、選手たちのことを考えて言っているんだろうなと。
 
石井 記者会見で発する言葉はいろんな人が聞いているし、当然選手の耳にも入る。その言葉は選ばなければいけません。
 
岩政 サポーターや選手、チームスタッフの顔も思い浮かべながらしゃべっているんですか?
 
石井 選手のことは、あまり思い浮かべません。批判は選手に直接言うべきなので、会見で個人への質問があった時に自分の考えを答えるくらいです。質問をごまかしたり、ぼかしたりしないで正直に自分の気持ちを言っていました。
 
岩政 次に監督をされるのが楽しみですが、優勝を狙うチームでもう一度やりたいのか、それともチャレンジャー的な立場のクラブでやりたいのか。希望はありますか?
 
石井 クラブの考え方にもよると思います。どちらかといえば、鹿島のように地域の人たちと密接に関って愛されるクラブで仕事がしたいですね。それが自分に合っているのかなと思っています。
 
岩政 よく分かります。チームの地位よりも地域とつながっているチームですよね。
石井 そうです。私は決してモウリーニョのようにはなれませんから(笑)。
 
岩政 勝ちに行く時の町の雰囲気ってありますよね。あの雰囲気を作るためには、クラブだけが動いても難しい。町全体を巻き込んでいかないと。あの感覚を味わえるのは鹿島の財産だと思います。
 
石井 そういう点で岡山はどうでした?
 
岩政 岡山は比較的あるほうでしたし、J2のなかでは相当あります。鹿島と同じでサッカーしかないし、鹿島を本当にリスペクトしているんです。だから私が呼ばれた部分もあったと思います。
 
石井 なるほど。
 
岩政 ただ、鹿島は最初の時点でジーコが勝負に対する厳しさを伝えましたが、岡山はその部分がまだまだです。すごく温かいがゆえに、甘んじてしまう空気があるんです。
 私がやりたかったのは、とにかくその空気を変えて、みんなが勝負に対して厳しい目を向ける体制を作ることでした。もっと常日頃から勝負にシビアな姿勢を持っていないと勝負所で勝てない。鹿島はクラブハウスに入った時に「つまらないことはできないな」という空気がありますが、あれは日常のちょっとしたことの積み重ねが作りだしていると思うんです。そこにどう持っていくかばかりを考えていました。
 
石井 鹿島はジーコというシンボルがいて、周りの選手もクラブも町も、彼についていく体制ができ上がっていました。それがやっぱり大きかった。
 
岩政 石井さんはそこから見ていますもんね。鹿島歴は、のべ何年になります?