嘉風(左)を寄り切りで下した日馬富士

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 ◇大相撲秋場所13日目 ○日馬富士―嘉風●(2017年9月22日 両国国技館)

 1人横綱の日馬富士に大逆転優勝の道が開けた。関脇・嘉風との4敗対決を万全の相撲で制して9勝目。単独トップの大 関・豪栄道が平幕・貴景勝に敗れて3 敗となったため、残り2日間で1差に迫った。千秋楽は豪栄道との直接対決となるため、自力優勝の可能性が復活した。前日まで10人いた4敗は、日馬富士と新入幕の朝乃山の2人だけとなったが、5敗の13人を含め優勝圏内に16人がひしめく極めて異常な大混戦だ。

 1人横綱に賜杯奪回のチャンスが巡ってきた。豪栄道の黒星を目の当たりにしてから上がった結びの一番。日馬富士は、今場所一番と言える相撲を見せた。頭で当たって左を差すと、すぐに右上手も引いて2秒3の電車道。これまで9勝9敗と苦手にしていた嘉風を圧倒した。「今日の一番に集中できた。(頭から当たったのは)自分の立ち合いをしようと思った。相手のことは考えていなかった。自分の相撲だけを考えた」。

 数多くの修羅場をくぐり抜けて8度の優勝を手にしてきた横綱は、ここ一番で抜群の集中力を見せた。土俵下で取組を見た藤島審判長(元大関・武双山)は「離れるとうるさいから、つかまえにいった。前(豪栄道)が負けて、が然力が入ったのかな」と分析した。

 3横綱が初日から休場するという昭和以降で初めての非常事態の中、日馬富士に期待が寄せられたが、3日目から3日連続で平幕に敗れ、10日目には貴景勝にも土をつけられた。1場所4個以上の金星を配給した例は14度あったが、その場所で優勝した横綱はいない。だが、左肘に痛みを抱える中でも「横綱の務めを果たす」という気持ちで土俵に上がり続けると、終盤に相撲の神様がほほ笑んでくれた。

 11日目終了時点での3差は2日間で1差となった。千秋楽は豪栄道との対戦が確実で、ここに来て自力優勝の可能性が復活した。「勝負事は1人が勝って、1人が負ける。何が起こるか分からない」。チャンスがある限り優勝を狙うかと問われた横綱は「もちろん」と答えた。混沌(こんとん)とする優勝争いを、最後は自分が締める覚悟だ。