先月、南極の冒険者を支援する団体「Antarctic Heritage Trust」が、100年前のものと見られるフルーツケーキを発見し、大きな話題となりました。

ブリキの箱に入れられたケーキは”自然の冷凍庫”の中で保存され、今でも食べられそうなくらい保存状態は良好だとか。

南極大陸「最古の小屋」で
眠っていたケーキ

南極のアデア岬には、大陸最古の小屋があります。この小屋は、1910年から1913年にイギリスのロバート・スコットが率いた探検隊が使用したもの。

かつて南極点への人類初到達をかけた熾烈な競争が、ノルウェーとイギリスの間で起きました。ノルウェー隊を率いたのは、名探検家として知られていたロアール・アムンセン。そしてイギリス隊を率いたのが、軍人であるスコットでした。

結果はアムンセン隊の勝利。スコット隊も遅れて南極点に到達するものの、帰り道で遭難、そして帰らぬ人に。

Antarctic Heritage Trustがそんな歴史的遺構であるこの小屋の保全のために作業を進めていたところ、中から106年前に使われていた道具や食品が見つかったそうです。

肉や魚などの生ものはひどく傷んだ状態だったそうですが、このフルーツケーキだけは、箱や包み紙こそ劣化している状態だったものの、中身は食べられそうな状態なのだとか。

どうやら、それはイギリスのHuntley & Palmersというお菓子メーカーのものでした。栄養価が高いフルーツケーキは、南極の探検家には非常に好まれる食品だったようです。

実際に食べられるのか、どんな味なのか、そこも気になるところですが、フルーツケーキは南極特別保護地区の規定に従って、小屋の保全作業が全て終わったあと元の場所に戻される予定。

中身をちょっとだけ、チラ。

スコット隊が帰途で遭難し、全員が死亡したのは1912年3月29日と言われています。英国の誇りのために最後まで諦めなかった英雄たちの中には、たった2日間の食料しかないテントで、小屋に置いてきたフルーツケーキのことを思い出していた者もいたかもしれません。

アデア岬の小屋のフルーツケーキは、亡くなった隊員たちを弔うように、これから先もその場所にあり続けるのでしょう。

Licensed material used with permission by Antarctic Heritage Trust