日本初。マインドフルネスの国際的なイベントが鎌倉 建長寺で開催 【後編】未来の不安に負けず自分らしく「寛ぐ」には?

写真拡大 (全7枚)

こんにちは、インド好きの翻訳者&エディターの松本恭です。前回に引き続き、日本ではじめて開催されたマインドフルネスの国際的なイベント「Zen2.0」 についてご紹介します。後半では、坐禅という枠を超えて新しい仏教を提案する藤田一照さんと、テクノロジーと私たちの進化についてエキサイティングな未来予測をする湯川鶴章さんをご紹介します。
坐禅は不安定な時代を生き抜くために役立つ身心の調え方藤田一照さん「帰家穏坐としての坐禅」(家に帰って穏やかに坐る)
東京大学で心理学を学んだ藤田一照さんは、大学院時代に鎌倉の円覚寺で坐禅に出会い、深い体験を味わったことがきっかけで坐禅に引き込まれます。そこから禅の道に入り、とうとう28歳で大学の博士課程を中退し禅道場に入門。33歳からアメリカに渡り、17年半にわたりマサチューセッツ州のヴァレー禅堂で坐禅の指導を行います。その後日本に帰国して葉山に道場を構え、現在は日米を行き来しながら禅や仏教、そしてマインドフルネスなどをテーマに広く活動しています。
藤田さんが指導する坐禅会では、坐る前にボディワークを行って体をほぐすそうです。今回も、まずは体をリラックスさせよう、という提案から始まりました。

Zen2.0(撮影:吉田貴洋)

 
「皆さん、Pandiculation(パンディキュレーション)という言葉を聞いたことがありますか?」
そう言って、ライオン、猫、ゴリラ、カバ、そして赤ちゃんや大人の男性など、さまざまな人や動物の写真を見せます。皆、気持ちよさそうに思いっきり伸びをして、大きくあくびしています。藤田さんは、Pandiculationを「全身あくび」と訳します。講演の前に、まずは全員でPandiculationしようということになりました。

Let's do it!
・好きなように体を動かして伸びをする・両手を伸ばし、背筋を伸ばす・立ち上がりたくなったら立ち上がる・決まった型はないので、体が「伸びたい」方向に向けて自由に体を動かす・あくびが出てきたら、顔の緊張を緩めて思いっきりあくびする

大切なことは、思いっきり伸びをして筋肉を緊張させたあと、深いところから脱力することだそうです。ポイントは余計な力を抜くこと。歯を食いしばっていたり、目に力が入っていたりしないか、注意深く観察して、力を抜いていきます。実は坐禅においても、この「力を抜く」ということが極めて重要になってきます。

Zen2.0(撮影:吉田貴洋)

藤田さんは、坐禅とは、ちょうど書道家が、筆を置く一瞬前のドキドキする創造の瞬間、次に何が起こるか分からない状態を刻一刻維持しているような感覚だと語ります。次の瞬間に何が起きるかまったく分からない未知と向かい合っているような感覚をじっと注意深く見守るようなものなのだそうです。
この感覚を、イギリスの詩人ジョン・キーツが不確実なものや未解決のものを受け入れる能力として表現した「negative capability(ネガティブ・ケイパビリティ)」という言葉を用いて説明しました。そして、その際必要になる姿勢が、「Not prepare for anything, but be ready for everything.(何に関しても構えないが、すべてに準備せよ)」だといいます。
このことを、趣味であるスラックライン(綱渡り)の極意にたとえてわかりやすく説明してくれました。スラックラインの世界チャンピオンが藤田さんに教えてくれた秘訣は、「落ちそうになったら、もっと力を抜け」でした。バランスを崩して綱から落ちそうになると、つい緊張してしまいますが、そうなると体の可動性が下がり、逆効果なのだそうです。逆にうまく体の力を抜くことができれば、ラインのサポートを受け取って体勢を立て直しやすいのです。