<米テレビ界の祭典、エミー賞授賞式が行われた。今年人気を博したのは、意外にも「トランプ政権の顔」だったあの人物>

日本と違い、映画やテレビ界のスターたちが社会問題や政治問題についてがんがん発言をするのがアメリカ。ドナルド・トランプ大統領の就任以降は、特にそれが顕著になった。

9月17日に行われたテレビ界の祭典、エミー賞授賞式も例外ではない。司会者スティーブン・コルベアは冒頭の語りでさっそくトランプをネタにし、彼が自分のリアリティー番組の視聴率を気にしていたことに言及。そして「この番組の観客数は現時点では分かりませんが......。誰か分かる人は? ショーン、分かりますか?」と呼び掛けた。

そこに登場したのが、ショーン・スパイサー元大統領報道官だ。「エミー賞において、最大の観客数になるだろう。以上。会場でも、世界中でも」と、自虐ネタで会場を沸かせた。これはもちろん、1月の大統領就任式の観客数について彼が述べた(そして「嘘だ」と大いに非難された)言葉のパロディーだ。

授賞式後のパーティーでもスパイサーは大人気で、多くのセレブが一緒に写真撮影をするなど和やかな雰囲気。人気トーク番組の司会を務める俳優ジェームズ・コーデンは、頬にキスまでしてみせた。

ただし、スパイサーの名誉挽回に手を貸すような歓待ムードには、ジャーナリストらを中心に批判が噴出。7月下旬に辞任するまでスパイサーは「トランプ政権の顔」として、トランプの問題含みの政策や言動を擁護し、メディアとの対立を繰り返してきた人物だからだ。

「スパイサーを認めたエミー賞は恥知らず。彼は私たちの作品の品位を落とし、報道の自由を制限するのに力を注いできた」とツイートしたのは、キャスターで作家のキース・オルバーマン。俳優ザック・ブラフは「彼は私たちの国に害を与えた、邪悪な日和見主義の嘘つきだ」となじった。

トランプたたきは、受賞結果にも表れていた。

アレック・ボールドウィン扮するトランプと、メリッサ・マッカーシー扮するスパイサーなど時事ネタが大受けしたお笑い番組「サタデー・ナイト・ライブ(SNL)」は、バラエティー・スケッチ部門作品賞など9部門の最多受賞。ボールドウィンは助演男優賞の受賞スピーチで、過去にノミネートされながら受賞できなかったトランプを皮肉り、「大統領、あなたのエミーですよ」ととどめを刺した。

トランプ政権が続くかぎり、お笑い番組や風刺番組はネタに困ることはなさそうだ。日本でも誰か、「ガースー」の物マネをしてくれないだろうか......。

(SNLでトランプに扮したボールドウィン)(こちらはマッカーシー扮するスパイサー)

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ニューズウィーク日本版編集部