母になった包容力も伺える、クールで攻撃的かつクセの強い復帰作 / 『ダブル・ダッチェス』ファーギー(Album Review)

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 ブラック・アイド・ピーズの紅一点・ファーギーのセカンド・アルバム『ダブル・ダッチェス』(Double Dutchess)が、ようやく完成した。

 本作は、2006年9月にリリースしたソロ・デビュー作『ザ・ダッチェス』から、何と11年振りとなるスタジオ・アルバム。その間には、ブラック・アイド・ピーズとして「ブン・ブン・パウ」や「アイ・ガッタ・フィーリング」(2009年)などの全米No.1ヒットを連発し、グループとしての活躍を経て、2014年に再びソロ活動を始動させた。

 本作からの1stシングル「L.A. ラヴ (ララ)」は、マライア・キャリーとの共演が話題となった、米カリフォルニア州コンプトン出身のラッパー、YGをゲストに迎えたエレホップ・チューン。ソロ・デビュー曲「ロンドン・ブリッジ」のような、ラップと歌を絡めたファーギーらしいナンバーだ。

 2年のブランクを空け、2016年7月にリリースした2ndシングル「ミルフ・マネー」も、ラップを全面に押し出したエレクトロ・ヒップホップ。この曲は、ニッキー・ミナージュの大ヒット曲「アナコンダ」(2015年)をプロデュースしたポロウ・ダ・ドンとの共作で、本作には彼以外にも、ブラック・アイド・ピーズやウィル・アイ・アムのソロ・アルバムなどを担当したキース・ハリスや、DJマスタードなど、人気ヒップホップ・アーティストを手がけるプロデューサーたちが、制作陣にクレジットされている。

 この先行シングル2曲をはじめ、アルバム冒頭の「ハングリーfeat.リック・ロス」や、ピアノの低音をアクセントにした、重量感のある「ライク・イット・エイント・ナッティン」、最新シングルの「ユー・オールレディ・ノウfeat.ニッキー・ミナージュ」など、ファーギーの巧みなラップが光るヒップホップ色の強いナンバーが、本作のメインではあるが、アルバムからの3rdシングルとしてリリースされた「ライフ・ゴーズ・オン」など、随所に配置したメロウも優秀。

 特にすばらしいのが、自身最大のヒット曲「ビッグ・ガールズ・ドント・クライ」(2007年)を下敷きにしたような、アコースティック・ソウル「セイヴ・イット・ティル・モーニング」。今後シングル・カットされるのではないか…というほど、曲の完成度が高い。その他にも、諭すように丁寧に歌う「ア・リトル・ワーク」や、アルバムのラストを飾る、熱の入ったバラード曲「ラヴ・イズ・ペイン」など、ファーギーの歌唱力が活かされたメロウ・チューンに酔いしれる。前作と明確に違うのは、母になった包容力が歌に表れていることだろう。

 2013年に出産した長男=アクセル・ジャック君がフィーチャリング・ゲストとして参加した「アンシャンテ(カリーヌ) 」では、自身初のトロピカル・ハウスに挑戦。ファーギーのパワフルなボーカルを抑え、曲に合うようにライトな歌い回しにしているところがいい。ジャスティン・トランターが手掛けた、UKガラージっぽい「テンション」や、ブラック・アイド・ピーズを意識したレゲエ・チューン「ラヴ・イズ・ブラインド」など、バラエティに富んだナンバーも収録。奇抜なメイクで睨みつけるジャケット・アートのイメージ通り、デビュー作よりもクールで攻撃的、且つクセの強いアルバムになった。

 「ディディー・ゾーン」、「クレオパトラ」の2曲のボーナストラックが収録される国内盤は、2017年10月18日に発売予定。


Text: 本家 一成

◎リリース情報
『ダブル・ダッチェス』
ファーギー
2017/9/22 RELEASE