ロシアW杯出場を決めた日本代表にとって、これからの約9カ月間でどれだけレベルアップできるかが、本番での結果を大きく左右する。そこで大きな問題となるのは、今の日本代表には「チーム全体で練習する時間が限られている」ということだ。

 日本代表が本大会のグループリーグを突破し、決勝トーナメントに進出したのは過去に2回。2002年の日韓大会と2010年南アフリカ大会だが、両大会に臨む日本代表の主力選手の多くが”国内組”だった。


W杯出場を決めたオーストラリア戦のスタメンも、8人が海外組の選手

 しかし現在では、ほとんどのメンバーが海外リーグでプレーするようになっているため、代表選手を集めることが難しくなった。実際、チームとして強化ができるのは、10月に行なわれるキリンチャレンジカップの2試合のほか、国際Aマッチデーの数試合と大会直前の合宿期間しかない。

 2014年のブラジル大会も同じような状況ではあったが、当時の代表を率いていたザッケローニ監督は、就任時から基本的なメンバーを固定し、4年の歳月をかけてチーム内の連係を成熟させてきた。ただし、この手法の場合、大会直前になって才能溢れる選手が新たに頭角を現したとしても、時間的制約からチームにフィットできず、能力を活かせないケースが多い。

 対して、ハリルホジッチ監督が志向する”縦に速いサッカー”は、チーム内の連係をそれほど求めないスタイルのため、新たに抜擢した選手がフィットしやすいというメリットがある。

 そうしたなかで、ハリルホジッチ監督が9月5日のサウジアラビア戦でどういった選手起用をするのかを注視していた。オーストラリア戦で出場権獲得を決めたメンバーからの大幅な変更を期待していたが、先発で起用されたフレッシュな選手は約2年ぶりに代表に復帰した柴崎岳のみ。途中交代で1トップに入った杉本健勇が代表デビューを飾ったとはいえ、やや物足りない印象だった。

 日本代表は10月6日にニュージーランド(豊田スタジアム)、10日にハイチ(日産スタジアム)とキリンチャレンジカップで戦うが、その試合では新しい選手をもっと多く起用してもらいたい。欧州リーグはシーズン真っ只中のため、ハリルホジッチ監督にとってはJリーグで活躍する選手を試す、絶好の機会となるだろう。

 センターバックでは、三浦弦太や植田直通という若くて国際大会の経験が少ない選手に場数を踏ませたいところだ。吉田麻也と昌子源、ケガと不調で代表落ちしている森重真人の3選手に続く選手たちを、不測の事態に備えて目処を立てておく必要がある。

 両サイドバックも長友佑都と酒井宏樹、酒井高徳に続く選手が見当たらない。この3選手に加えて内田篤人がバリバリ働けた頃は、日本代表でもっとも選手層が厚いポジションだったが、いまでは若い世代からの押し上げもなく、人材難だ。

 コンディション不良による”どん底”から抜け出した長友が、新シーズンにどこまで状態を戻してくるのか。それを頼りにしなければならないのが現状なだけに、Jリーグの若い選手たちには、もっと大胆なプレーで代表入りをアピールしてほしい。

 SBのほか、各ポジションで新しい選手を試してもらいたいが、とりわけ代表でのプレーをもっと見たいのが杉本だ。

アグレッシブにボールを奪い、縦に速い攻撃スタイルを具現化するためには、1トップの選手が後方からのボールをしっかり収められることが大きなポイントになる。それができれば、両サイドの選手が相手ゴールに迫るパワーが生まれるからだ。逆に、ここでボールを失うようだと、自陣での守備に追われて疲弊していくことになる。

 現時点で1トップのファーストチョイスは大迫勇也だが、彼が万全の状態でW杯本番を迎えられる保証はない。そうした状況に備え、186cmと長身ながら足元の技術があり、J1リーグ得点ランキング2位の16得点(26節終了時)を挙げている杉本に、サウジアラビア戦よりも多くのチャンスを与えられることを願う。

 10月のキリンカップの後は、11月に欧州遠征を行ない、12月にEAFF E‐1フットボールチャンピオンシップ(旧・東アジアカップ)で北朝鮮、中国、韓国との対戦が予定されている。ロシアW杯に向けてメンバー争いを激化させることが、強化時間の限られた日本代表をレベルアップさせるだけに、ここで起用された新たな選手たちが、どういったプレーをして、どんな結果を残してくれるのかを楽しみにしたい。

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