ブラス氏のレストランが掲載されたミシュランガイド

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 プレッシャーから自由になって、料理に情熱を注ぎたい―。フランスの有名なレストランガイド、ミシュランで長年三ツ星を獲得してきたシェフ、セバスチャン・ブラス氏が、来年からミシュランガイドへの掲載を辞退する意向を伝え、ミシュラン側も「初めてのこと」としながらも、氏の意向を尊重する方針を示した。

 セバスチャン・ブラス氏は、フランス中南部、ナイフで有名なライオール村のオーベルジュ、ブラスのレストラン「ル・スーケ」のシェフ。土地の野菜を使って作るガルグイユや、やはり土地の名物、アリゴなどで有名なトップシェフ、ミシェル・ブラス氏の息子で、1999年に三ツ星を獲得、その評価を維持してきた。ル・モンド紙など地元メディアが伝えたところによると、今回の決断は家族も賛同の上で、「ミシュランガイドの評価のないところで、すべての情熱を料理に注ぎ、新たな仕事の第1章を始めたい」としている。「星付きレストランとして、さまざまなチャレンジをし、変化を遂げたことに満足しているが、その分、星を維持することの重圧は大きい。これからは自由な気持ちで、私たちの店らしい表現でサービスをしていきたい」と、その理由を語っている。

 ブラス氏以前にも、コンセプトの変更などを理由に“星獲得レース”から辞退するケースはあった。だが、ミシュランの審査委員クレール・ドーラン・クローゼル氏によると、今回のような理由で「シェフ自らがガイドブックへの不掲載を希望するのは初めて」という。「ガイドブックはレストランのためのものではなく、読者のためのものであり、ブラス氏の意向で自動的にガイドブックから除外されるわけではない」としながらも、氏の意向は尊重する、とミシュラン側。クローゼル氏は、「ミシュランのためでなく、食べ手のために働くように、と我々はいつもシェフたちに言っている」と付け加えた。

 ミシュランの星を巡っては、2003年に三ツ星シェフ、ベルナール・ロワゾー氏が自殺、評価を苦にしたのではと噂されるなど、シェフの重圧が話題になることが多い。