このところ、不倫スキャンダルが連日のようにニュースを騒がせています。なかでも既婚同士のダブル不倫が目立つ印象を受けますが、恋愛や不倫を数多く取材してきたライターの亀山早苗さんも、ダブル不倫が増えていると実感しているそう。
「かつて不倫といえば、独身女性と既婚男性の組み合わせが圧倒的多数でした。携帯電話もない時代は、会う約束をするのさえ大変だったし、女性は彼からの電話をひたすら待つことしかできなかったからです。しかし現在は携帯電話やスマホの普及で、不倫といえども連絡がとりやすくなりました。これが、ダブル不倫が増えている大きな理由だと思います」。

不倫された側の妻はたまったものではありませんが、ダブル不倫を知ってしまった妻が泣き寝入りしないのも、最近の傾向だとか。「すでに女性が我慢する時代ではありません。だからこそ、不倫する側は忍耐せず、された側も我慢せず、激しいバトルが勃発するのです」。
亀山さんの新刊『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき』にも、ダブル不倫のエピソードが多数登場します。ここではそのなかから、夫にダブル不倫された妻・サエコさん(仮名・43歳)の壮絶な復讐劇をご紹介します。夫の浮気相手と同じ職場に就職し、復讐開始!

サエコさんは結婚して15年、13歳の女の子と10歳の男の子がいる主婦。彼女の夫が浮気をしたのは、息子の友だちのお母さんでした。「息子は地元のサッカーチームに入っているのですが、夫もサッカー好きなため週末の練習や試合にはいつも行っていました。そのうち、チームの子のお母さんと仲よくなったみたいですね。私も顔は知っていましたが、それほど親しく話したこともなかった人です」。

ある日、たまたまサッカー場の近くを通ったサエコさん。そろそろ練習が終わるかなと覗きにいったところ、夫が車の中で、女性と激しくキスしているのを目撃。「これだけのキスをするということは、キスだけの関係ではないだろう」と不倫を確信します。翌週、サエコさんはこっそり息子のサッカーの練習場へ。顔見知りのママ友に、不倫相手のことを聞いたところ、「そういえば、あなたのご主人を見るときの目つき、けっこう危ない感じよ。気をつけて」と冗談まじりに言われたそう。その夫の不倫相手・ミドリさんに復讐することを決意したサエコさんは、ミドリさんがパートをしている会社を探りあて、パートの面接を受けることに。
「それまで私がパートで働いていた会社は時給もよかったし、長くいたので仕事もしやすかったんですが、そんなことは言っていられない。とにかくミドリに近づかなければという一心でした」。

パートとして雇われるようになったのは、食品関係の工場。仕事に慣れてきた頃、サエコさんは手始めに、各人のロッカーの下に置いてあるミドリさんの靴に、死んだゴキブリを仕込みました。「私だって気持ち悪かったですよ。でもうちのゴキブリ取りにひっかかっていたのを、泣く泣くはがして持っていったんです。帰り際、制服から私服に着替えて靴を履こうとしたとき、ぎゃーっというミドリの悲鳴が聞こえました」。

身を挺してまでの行動に、サエコさんの半端ない怒りを感じます。その後も、うっかり鍵をかけ忘れたミドリさんのロッカーを開け、私服をずたずたにハサミで切り裂いたり、「ミドリは浮気性」「子どもの友だちの父親を、色目を使って誘惑した」などの文書をつくって職場のあちこちに置いたり…。思う存分復讐をする一方で、自分を裏切っている夫を直接攻撃することはなかったそう。

「夫と険悪な雰囲気になるのがイヤなんですよね。子どもたちにもよくないし。だからまずはミドリ征伐が先だと思っていたんです。ただ、私がミドリと同じ会社で働き始めたとき、夫にそのことをちらっと言ったことはあります。『あなた、知ってるでしょ。〇〇ミドリさん』と言ったら、夫は顔が固まって、『ああ、何度か話したことがあるかも』としらをきっていましたよ。私はすでに、夫のスマホで確認して、ふたりの関係の証拠を押さえていたのに」。いったん収束したけれど、まだ怒りはおさまっていない


さすがにこたえたのか、ミドリさんはパートを辞めましたが、サエコさんは追い打ちをかけます。サッカーの練習に行き、隙を見てこっそりミドリさんの息子に、中傷文書入りの封筒を渡したのです。「お父さんに見せてねって言いました。お母さんじゃなくてお父さんねって」。

同じものを夫にも渡し、「ミドリさんってそういう人なのね。あなた知ってた?」と言ってみたそう。顔色の変わった夫が「コンビニへ行ってくる」と、スマホを片手に出かけたところを追いかけ、「私も買い忘れたものがあったの。一緒に行きましょ」と、夫にスマホを操作する間を与えない徹底ぶり。もはや女優の域です。

それからというもの、週末のサッカーにもミドリさんは来なくなります。ミドリさんは浮気が夫にバレて、大変なことになっているらしいという噂も流れました。「夫の名前もひょっとしたら知られているのかもしれないと思ったけど、その噂を教えてくれた知り合いは、相手がだれかは知らない様子でした。夫との関係はいったん終わったようですが、ミドリはまだ離婚していない。私としては、ミドリの動きをまだ注視していないといけないなと思っています。私を甘く見るなよ、と彼女には言ってやりたい」。“ミドリ征伐”に成功したサエコさんは、今は夫への復讐をじっくりと考えているところ。定年退職のタイミングで離婚、という選択肢も検討しているそうです。

いかがでしたでしょうか。不倫した本人たちは因果応報の結果かもしれませんが、妻が復讐の鬼になってしまったことを考えると、やはり不倫はだれも幸せにしないものといえます。『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき』には、復讐に走ってしまう女性のさまざまなケースが描かれています。気になった方は、こちらもぜひチェックしてみてください。

●教えてくれた人
【亀山早苗さん】
1960年、東京都生まれ。ライターとして、女性の生き方を中心に恋愛、結婚、性の問題に積極的に取り組み、かつ社会状況を的確に分析する筆力に定評がある。最新刊に『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき』(扶桑社刊)がある