昨シーズン、プレーオフの末に辛うじて残留を果たしたヴォルフスブルクは、今シーズンもここまで苦しい戦いに終始している。数シーズン前には、CLでレアル・マドリーを苦しめていたというのに……。 (C) Getty Images

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 装いも新たに、再び欧州の舞台へ。
 
 それが今シーズン、ヴォルフスブルクが掲げた目標だった。2014-15シーズンから15-16シーズンにかけて、ブンデスリーガだけではなく、チャンピオンズ・リーグ(CL)でも注目を集めるだけのパフォーマンスを見せていたあの頃のように……。

 
 当時、ディーター・へキンク監督の下、組織だった守備からの快速カウンターの完成度は、素晴らしいものがあった。
 
 だがその後、チームは下り坂を転げ落ちていく。大黒柱だったケビン・デ・ブルイネのマンチェスター・シティ移籍で、当時、ブンデスリーガで歴代最高額となる移籍金7500万ユーロ(約96億円)を手にするが、その欠けたピースを埋めることができないまま、歯車だけが狂い続けていった。
 
 後釜としてドイツ代表のユリアン・ドラクスラーをシャルケから獲得したものの、チームスタイルとフィットすることはなく、その後、移籍希望を公言するなど、ドタバタ劇はエスカレートするばかり……。
 
 浮上のきっかけを掴めなかったへキンク監督はチームを離れ、後を継いだバレンティン・イスマエルは、最後までチームを掌握することができなかった。
 
 降格の危機に直面したチームを残留に導いたアンドリース・ヨンカーは、間違いなくクラブを救った。温厚な人柄で選手と良好なコミュニケーションを取るヨンカーは選手の気持ちをまとめ上げ、特にバイエルン時代から絶対の信頼関係で結ばれていたマリオ・ゴメスは、ヨンカー就任後にゴールを量産した。
 
 彼ならば、チームにまた成功をもたらしてくれるかもしれない――。
 
 仕切り直しの1年として、今シーズンに懸けるクラブやチーム、ファンの想いも期待も、相当に強く、そして高いものになっていた。
 
 だが、ヴォルフスブルクは躓いた。開幕戦でドルトムントに良いところなく0-3で完敗すると、4節まで1勝1分け2敗。結果以上に首脳陣をがっかりさせたのが、チームに成長の跡が全く見られないことだった。
 
 そして9月18日、ヴォルフスブルクはヨンカー監督の解任を発表する。
 
 代表取締役のヴォルフガンク・ホッツェは、「この決断に至ったのは、シュツットガルト戦だけの印象によるものではなく、今夏、新しく構成されたチームがここ数週間、すでに停滞期に陥ってしまっているためだ」と理由を説明していた。
 
 抱える選手の才能はいずれも高い。だが、チームとしてお互いの力を引き出し合う相乗効果が、いつまでたっても表われない。
 
 特に守備では、あまりにあっさりと相手にチャンスを許してしまうのが大問題だった。人数は十分なのに、サイドからのクロスがやすやすと相手FWに通ってしまう。ヨンカーの優しさは、最後のところで選手に言い訳を許す逃げ道を作ってしまったのかもしれない。
 この事態を何とかできる適任者は誰だろうか。元アンデルレヒト監督のレネ・バイラーらも候補に挙がっていたが、最終的にクラブがサインを交わしたのは、元マインツのマルティン・シュミットだった。
 
 マインツ時代、残留争いに苦しむチームを様々な手法でひとつにまとめ上げ、ヨーロッパリーグ出場にまで導いたシュミット監督。選手それぞれがチームのために汗をかき、インテンシティーの高いプレーをするという彼の哲学は、今のチームに必要なインパルスとなるはずだ。
 
 マインツでは、チーム総走行距離で125.2キロを記録する試合もあった。とはいえ、長時間の練習や走り込みがあるわけではない。当時、シュミット監督はコンディショニングの秘密について、こう説明していた。