[鵬捨看靴琉豐穃映像制作のススメ]Vol.03 スタビライザーオペレーターのための、シネマレンズ新時代の周辺機器選び

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PD Movie製のレンズコントロールシステム

本年、富士フイルムのFUJINON MKズームレンズが2本発売になり、シネマレンズの敷居が大きく下がった。筆者は何度か仕事の現場で運用させて頂いたが、単焦点レンズと見紛う解像感とボケ味の良さで、画質への妥協なく撮影現場のスピード感を大幅に改善することができた。低予算化の中で良いコンテンツを作り続けるには、現場の効率化が最優先だと感じている。画質への妥協することなくズームレンズが使えるなら、効率化を進めるには必要な投資ではないだろうか。

さて、MKレンズが装着できるEマウントのカメラということであれば、当然ながらボディはSony製となるわけだが、純正のEマウントレンズではズーム域、解像感、ボケ味で納得のいく製品は少ない印象であり、MKレンズ群がそれを補完する存在になっていると言えるだろう。純正のレンズ群と比較して、あえて欠点としてあげるのであれば、それはフルマニュアルレンズということくらいだ。

しかしながら近年はスライダー、3軸スタビライザー、ジブアームなどの特機との組み合わせは必須となっており、これらとの組み合わせではレンズコントロールアクセサリーが必要となる場合が多い。

前振りが長くなったが、今回筆者が試したシネマレンズ向けアクセサリーは、国内ではIDXが取り扱い、展開しているPD Movie製のレンズコントロールシステムである。ワイヤレスの3モーターのシステムでも40万円程度で導入できる上、国内の電波法の技術適合取得済みと、安心して使える点も見逃せない。国内の技適取得はワイヤレス映像伝送のCAM-WAVEシリーズで培ってきたノウハウがある同社ならではだろう。

さっそく製品の詳細を見て行きたい。

フォーカスコントロールのみで運用するのであれば、驚くほどシンプルで、受信機内蔵のマスターモーターに電源ケーブル接続し、送信機であるハンドコントロールユニットがあれば完結だ。この状態であればiPhoneなどのデバイスがなくとも、モータートルク、ワイヤレスチャンネル選択、キャリブレーションなどもユニットにあるボタンの操作だけで操作が可能だ。

3モーターのワイヤレスシステムがこれだけコンパクトにまとまっている。因みにVマウントバッテリーは別売りD-TAPの電源ケーブルを受信機内蔵のマスターモーターに接続するだけと至ってシンプルチャンネルはモーター下部、コントローラー上部のボタンを押す回数だけで設定が可能。チャンネルや受信感度などの動作状態は液晶画面内で確認できる設定に必要なボタン操作はモーター本体に記載されているので現場にマニュアルを持ち歩く必要はないだろう

フォーカスに加えてズーム操作を必要とする場合は、スレーブモーターと接続ケーブルを追加するだけ良い。数珠繋ぎにするだけで、2軸を操作できる様になる。仮にプライム(単焦点)レンズを装着且つハンドコントロールユニット側でアイリスの数値を見る必要がなければ、ズームモーターをアイリスリングに割当てても良い。

1モーターのシステムにスレーブモーターとケーブルを追加するだけ2モーターシステムと運用できる

今回MKレンズとの組み合わせにおいては、3モーターのフルシステムで装着してテストしてみたが、1個のマスターモータに、2個のスレーブモーターを数珠繋ぎするだけ良い。接続は至ってシンプルであるが、見た目も格好良くケーブルを取り回すには多少センスが要求されるだろう。3軸目の制御にはiOSデバイスが必要になるので、写真の様にコントローラー側に装着することになる。

余ったケーブルはカメラのトップハンドルに、ケーブル同士はマジックテープのケーブルバンドで結束してみたiPhone 7をマウントした状態。iPhone 6/iPhone 7/iPhone 6 Plus/iPhone 7 Plus/iPod touchに対応iOSに無料でダウンロードできる専用アプリをインストールして、3軸目のコントロールとマーキング機能を追加できる。手持ちのレンズの情報を登録しておくことで、毎回マーキングし直す必要がないマーキングディスクは蓄光式で、暗所でもマーキングが見やす様に配慮はされている。ただし上にテープを巻いてマーキングする場合は視認性は落ちるだろう

ステディカムなどのスタビライザーと組み合わせるだけでなく、リグを組んだカメラのワンマンオペレーションにも対応できる。この場合レシーバーマスターモーターとスレーブモーターを組み替えて有線式のコントローラーを接続する。このように最小限の組替えで済むのがこの製品の特長と言えるだろう。

有線式の2軸制御の接続例。電源と反対の終端にコントローラーを接続コントローラーとモーターのインジケータランプの色が揃えれば各軸がリンクして動作する。因みに赤=フォーカス、緑=ズーム、青=アイリスで、点灯または点滅の状態でモータートルクの設定状態が識別できる

CINEMA EOSのシステムをEFのフォトレンズと組み合わせるのであれば、アイリスコントロールはカメラ側に依存するので、2モーターの有線システムを導入するだけで、フォーカスとズームの2軸すべてが操作できるので運用の幅が広がるだろう。

実際の動作・操作感はどうだろうか。筆者的は十分以上と感じた。まず動作の解像度が高いということ。ワイヤレスハンドコントローラーの動作の読み取り解像度もそうだが、ブラシレスモーターの制御の解像度が高いので、手動でフォローフォーカスを操作しているような感覚で操作できたことは特筆すべきだろう。有線のハンドコントロールユニットも適度なトルク感があり、指先で気持ちよく操作ができる。

電波の飛びも、映像伝送のCW-3が切れてしまう距離でもレンズコントロールは正常に動作した。混信トラブル以外で飛びが悪くて苦労することはないだろう。

■PD Movie動作感

シネマレンズ用のコントローラーは非常に高価な印象がだったが、本製品の登場で導入へのハードルが大きく下がった。特機を多用するプロダクションであれば、早期にコスト回収ができるであろうし、レンタルを希望した場合も借りやすい価格になるに違いない。今までコスト的に諦めていた現場でも、導入し易い価格帯の製品の出現を大いに喜びたい。

筆者所有のステディカムZephyrに、PD Movieの3モーター+FS700+SHOGUN INFERNO+MK18-55+CW-3の組み合わせを搭載。シネマレンズと3モーターのシステムが、中級機ステディカムに搭載できることに驚いた

少々一眼系の話題から乖離した内容だが、スタビライザーを所有する方々には興味深い内容だったのではと思う。次回も筆者の興味ある製品に触れる機会があれば、レポートしてみたいと思う。