エミー賞授賞式でセレブたちが政治的スタンスを表明ーーリボンやピンバッジから見えてくるもの

写真拡大

 9月17日(現地時間)、第69回エミー賞授賞式がロサンゼルスのマイクロソフト・シアターで開催された。

参考:第69回エミー賞主要5部門受賞 エリザベス・モス主演『The Handmaid’s Tale』Hulu配信決定

 エミー賞を含む賞レースでは、主演女優賞や監督賞などの賞を勝ち取る対象に注目が集まるのはもちろんのこと、セレブたちがこの日に照準を合わせて磨きあげてきた外見の美しさ、選び抜いたドレスやアクセサリーなどにも多方面から熱い視線が注がれる。セレブにとっても、抜群のファッションセンスで知名度を上げられる絶好のチャンスだ。ここまでは日本の芸能界も同様であるといえるが、海外では時にセレブが自身の政治的なスタンスをアクセサリーで意思表明するのが興味深い。

 今年のエミー賞ではリミテッドシリーズ部門で主演男優賞を獲得したリズ・アーメッド(『ナイト・オブ・キリング 失われた記憶』)、ドラマ部門で主演女優賞に輝いたエリザベス・モス(『The Handmaid’s Tale(原題)』)、クメイル・ナンジアニ(『シリコンバレー』)らがブルーリボンを身につけて現れた。

 リボンといえば、日本においては乳がんの正しい知識と乳がん検診の早期受診を推進するピンクリボンの認知度が比較的高いと思われるが、ブルーリボンはどうだろう? これは非営利団体の1つ、「アメリカ自由人権協会」(「ACLU」)を支持していることを表明するリボンだ。「ACLU」は人権と言論の自由擁護のために1920年に設立されたアメリカ最大の人権擁護団体で、LGBTの人々に対する平等の権利、女性が中絶を選択できる権利などをサポートしてきた。しかし、今年の賞レースでブルーリボンをつけているセレブたちが最も主張したいことはそういった権利よりも、自分は「反トランプ氏側である」ということであろう。今年1月、トランプ大統領がイスラム教徒のアメリカ入国を禁じたが、この大統領令に差し止めを求めて提訴したのが「ACLU」だった。

 この一件における「ACLU」の行動が共感を呼び、2月に行われたアカデミー賞授賞式では主演女優賞にノミネートされたルース・ネッガ(『ラビング 愛という名前のふたり』)、歌曲賞にノミネートされたリン=マヌエル・ミランダ(『モアナと伝説の海』)らがブルーリボンをつけてACLUへの支持表明をした。ルース主演の『ラビング 愛という名前のふたり』は、異人種間の結婚が違法とされていた1950年代のバージニア州が舞台。愛し合う黒人女性と白人男性が、最終的に異人種間の結婚を合法へと導いた実話をベースにしており、「ACLU」も登場する。

 影響力の大きさというセレブの特権を活かし、世界を変えていこうと声を高らかにするのは決して大人だけではない。『ストレンジャー・シングス』でイレブンを演じ、一躍有名子役となった13歳のミリー・ボビー・ブラウンは、5月に開催されたMTV Movie and TV Awardsで最優秀俳優賞(TV部門)を受賞。その際に、ブルーリボンだけでなく「&」マークのピンバッジもドレスにつけてステージへと上がった。このピンバッジは「中傷と闘うゲイ&レズビアン同盟」(「GLAAD」)の支持者であることを意味し、ミリー以外のメインキャストの男子たちもつけていた。

 日本では活躍中の若手俳優が積極的に政治について語ることはほぼ皆無だが、海外セレブは注目と話題が集まる華やかなイベントを自分の意思が主張できる“おいしい”チャンスとして活用している。政治とは縁遠そうな意外なセレブの政治観も、身につけているアクセサリーで確認できるかもしれない。今後開催される様々な授賞式でぜひ注目してみてほしい。(賀来比呂美)