写真:AFLO

 2017年4月、生後6カ月の乳児がはちみつを食べて死亡するという痛ましいニュースが報じられた。

「原因はボツリヌス菌。土の中によくいる微生物ですが、この菌を乳児が摂取すると、腸内を守る細菌が十分に増えていないため、ボツリヌス菌が腸内で増殖し、毒素を出します。ボツリヌス菌は加熱されても『芽胞』という形をとって生き残ります」
 

 こう話すのは、科学ジャーナリスト松永和紀さん。1歳を過ぎれば、少量のボツリヌス菌なら消化できるようになるが、それ以下の乳児に与えるのは厳禁なのだという。

「天然の食品はよくて、人工的な食品はダメ」――ついつい、人はそんな発想に陥る傾向にある。しかし、本当にそうだろうか? 我々が「安全」と勝手に思い込んでいる食材や食品にこそ、未知の毒物や見落としがちな食中毒の可能性が潜んでいるのだ。

 以下、そうした具体例をあげてみよう。

●ひじきは発ガン物質「無機ヒ素」を摂取する危険が!

「鉄分不足を補うのに最適」といわれ、給食などでも頻繁に登場した。
「しかしその鉄分は、ひじきを調理した鍋に由来したものでした。最近ではむしろ、無機ヒ素が多く含まれるという問題がクローズアップされています」(松永さん、以下同)

 井戸水に無機ヒ素が多く含まれるインドやバングラデシュで膀胱ガンなどの患者が多いことから、無機ヒ素は「天然の発ガン物質」と呼ばれる。

「海外では国民に『ひじきを食べないように』と注意している国もあります。食べる際にはよく水戻しして、無機ヒ素を洗い流してください」

●じゃがいもは、「ソラニン」による食中毒の危険が!

 じゃがいもの芽に「ソラニン」という毒があるのは有名。

「ソラニン類を多く食べると、腹痛や嘔吐、頭痛などに見舞われます。大量に摂取すると死亡することも」
 じゃがいもによる食中毒が多い現場は小学校。理科や家庭科の授業で育てられ、食べるのだが、栽培や保管に問題が多いからだ。

「科学者のなかには『じゃがいもが現代に新規の食品として申請されたら、おそらく認可されないだろう』と言う人もいるほどです」

●黒糖は、発ガン物質「アクリルアミド」を摂取する危険が!

「アクリルアミドは、食品中のごく一般的な糖類と、こちらもまたごく一般的なアミノ酸の一種『アスパラギン』が、特定の条件下で加熱されると生成されます。人間に対する発ガン性はまだ研究中ですが『多く摂取すれば影響がありそうなので、減らしたほうがよい』というのが、国際機関の示す方向性となっています」

 ポテトチップスなどにアクリルアミドが含まれているのは有名だが、意外なところでは黒糖や野菜炒めにも、多く含まれている。

●未殺菌牛乳は、死亡事故の危険が!

 日本の牛乳は、ほとんどが加熱殺菌されている。未殺菌の牛乳を製造・販売するには高度な衛生管理レベルを国から求められるため、高価になるが、それでも「そのままがいちばん」と、未殺菌を選ぶ人が一定数いる。

「しかし、海外では未殺菌牛乳でたびたび死亡事故が起きています。リステリア菌、病原性大腸菌、サルモネラ菌など、さまざまな食中毒の危険があります。そのため、米国をはじめ多くの政府機関が、注意喚起をしています」

●木灰を使ったこんにゃくには、発ガン物質が含まれている危険が!

 かつてこんにゃくを固めるのには、木の灰に水を入れ、その上澄みを使用していた。現在では大半が水酸化カルシウム、炭酸ナトリウムなどに取って代わられているが、自然食品の店などで「木灰使用」のこんにゃくを見かけることがある。

「木の灰というと、自然でよい印象を持たれがちですが、発ガン物質が含まれる場合もあります。認められた食品添加物を使用するのは、より安全で確実にこんにゃくを作るためなんです」

●有機農産物にも、有害物質が含まれる危険が!

 有機栽培でも使っていい農薬はあり、有機栽培だから無農薬とはいえない。また栽培時にカビが発生し、目ではわからないカビ毒がついている場合もあり、一般の農薬を使う栽培法より安全性が高いともいえない。

「害虫や病原菌がいっぱいなのに農薬を使ってもらえない、そんな過酷な条件だと、植物がストレスに堪え忍ぶために体の中にさまざまな、複雑な物質を作ります。人に有害なアレルゲンを作ってしまった、という報告もあります」

松永和紀
『効かない健康食品 危ない自然・天然』(光文社新書)の近著がある
(週刊FLASH 2017年9月5日号)