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東京五輪が開催される2020年まではさまざまな再開発が行われるが、五輪が終わった後は下火になるーー。 そう思っている人が多いかもしれないが、「実は違う」と東京カンテイの井出武上席主任研究員は話す。「東京都心の再開発はむしろ五輪後が本番と言ってもいい。主要なターミナルで再開発の計画が目白押しで、五輪前はもちろん五輪後も切れ目なく続く。2030年ごろには東京都心は大改造されて生まれ変わった姿を見せてくれるはずです」

そこで今回は、渋谷駅、品川駅、東京駅などの主要ターミナル駅とその周辺で行われている再開発計画を取り上げ、その進捗を紹介したい。

ヒカリエ筆頭に未来都市へ進化 「渋谷駅」

まずは、工事の真っ只中にある渋谷駅周辺の再開発から紹介しよう。渋谷駅周辺の再開発は大きく分けて「渋谷駅街区」「渋谷駅南街区」「渋谷駅桜丘口地区」「道玄坂街区」の4つの区画で行われている。
 
特徴はどの街区にも高層ビルが建つこと。渋谷駅周辺と言えば、他の主要ターミナル駅と比べて高層ビルが少なく、街並みも雑然としている雰囲気がする。しかし、再開発が終了した暁には超高層ビルが立ち並ぶ「未来都市」に様変わりしているだろう。
現在、4つの街区の中で建設が急ピッチで進められているのが、「渋谷駅街区」の駅ビルの再開発だ。東京五輪が開催される2020年、駅ビルとして高さ230m、地上46階建ての超高層ビルが建設される。完成すれば、渋谷ヒカリエの高さ180mを超え、新たなランドマークになるのは間違いない。その後も再開発は続き7年後の2027年に西棟や中央棟が完成し、全貌を現す。

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「道玄坂街区」の工事も始まっている。ここは以前、東急プラザ渋谷があった跡地で進められている。地上18階、地下4階の高層ビルが建設され、2020年に開業予定だ。さらに東急東横線の渋谷駅の旧ホームと線路跡地を区画とする「渋谷駅南街区」には地上34階建ての超高層ビル、「桜丘口地区」には高さ150m以上の高層ビルが2棟などが建つ予定だ。

それ以外にも、高層ビル間の移動をデッキや地下通路でつないで回遊できたり、高層ビル化で空いたスペースを広場や緑地などとして活用する計画もある。完成すると他のターミナルにはない魅力的な駅へと変貌するだろう。

資産価値向上でタワマンも リニア新幹線で再注目「品川駅」

次に紹介するのが品川駅とその周辺の再開発だ。品川駅と言えば、過去に再開発が進み、タワーマンションも多数建設されて人気を博している。その人気ぶりはタワーマンションの中古物件が新築購入時より高い価格で売却されることが多いことからも分かる。21世紀に入って資産価値が上がった代表的なエリアと言えるだろう。

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品川駅周辺で行われる再開発やプロジェクトはさまざまあるが、その中でも注目されているのが、2027年に予定されているJR東海リニア中央新幹線の開業だ。東海道新幹線は東京駅が始発のため、品川駅は停車駅の1つに過ぎない。しかし、リニア中央新幹線は品川駅が始発のため、名実共に「東京の玄関口」になる。リニアの開業後は品川駅の人の往来は今以上に増え、街の資産価値も高まることが期待できる。

山手線の新駅でさらに資産価値が上昇?

品川周辺の再開発のもう1つの目玉が、山手線の品川駅と田町駅の間にできる新駅だ。今年2月10日、事業者のJR東日本と都市再生機構(UR)が新駅の起工式を行ったというニュースを耳にして知っている人も多いだろう。

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山手線の新駅設置は1971年に西日暮里駅ができて以来のこと。新駅の営業開始予定は2020年春だから、約半世紀ぶりだ。山手線の各駅間の距離などから考えて「最後の新駅」とも言われており、注目が集まるのも無理はない。

新駅の駅舎をデザインするのは、新国立競技場の設計を手掛けた建築家の隈研吾氏。和風でモダンなデザインは五輪鑑賞で訪日する外国人にとっても印象に残る。駅舎以外にも商業や住宅施設なども開発し、本格開業は2024年を見込んでいる。

新駅の誕生は品川周辺の資産価格を押し上げそうだ。山手線沿線の中でも港区や品川区にある駅は元々人気が高く、新駅の誕生で人気に拍車がかかりそうだ。

八重洲や日本橋、古き良きエリアにも高層ビル 「東京駅」

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最後に紹介するのが東京駅近辺だ。東京駅と言えば、大手町や丸の内など日本を代表するオフィス街や商業地であり、さらに東海道新幹線や東北新幹線の始発駅であるなど、日本の玄関口と言える。最近も大手町や丸の内では新たなオフィスビルや商業施設、ホテルなどが再開発で誕生し、街の魅力を高めている。

その一方で、丸の内と反対側の八重洲口や、日本橋口はあまり再開発が進んでいなかった。八重洲側は飲食店が建ち並ぶ雑然とした雰囲気が魅力だが、他の主要ターミナルと比べると若干見劣りするのは否めない。

しかし、それを一変する再開発が計画されている。三菱地所が日本橋口前の常盤橋街区で予定する大規模再開発だ。敷地面積が約3万1400m2という広大な敷地に、日本一の高さとなる390mの超高層ビルを建設する。完成すれば、東京駅の新ランドマークタワーの誕生となる。超高層ビル以外にも、約7000m2の広場を整備し、災害時には避難場所として活用するなど防災拠点の役割も担う。竣工は最も早い棟で2021年度、最も遅い棟で2027年度を予定している。

今回紹介した東京駅、品川駅、渋谷駅以外でも再開発は進んでいる。ここまで大規模ではないものの、例えば山手線では目黒駅や新宿駅、中央線の四ツ谷駅、中央線の中野駅などだ。各エリアで行われる重層的な再開発によって、東京の魅力や資産価値はますます高まりそうだ。

●取材協力
東京カンテイ
(冨丸 幸太)