ECの普及で実店舗は蘇る 「BASExアソビシステム」が狙うモノ

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「大音量の音楽がかかっている中、お酒を片手に買い物を楽しむ。しかも、決済はQRコードを読み取るだけ。そんな買い物が体験できる”場”を作りたい」

こうした未来図を描くのは、BASE代表取締役CEOの鶴岡裕太だ。BASEはEコマースプラットフォーム「BASE」、オンライン決済サービス「PAY.JP」、ID型決済サービス「PAY ID」の開発、運営を手がける。

誰もが簡単にネットショップを立ち上げることができ、誰もが簡単に購入できる。そんな”場”をオンライン上に創出してきた同社が、新たな展開を見せた。2017年8月22日、きゃりーぱみゅぱみゅ、中田ヤスタカなどが所属する「ASOBISYSTEM(以下、アソビシステム)」との提携を発表。

今後、リアルイベントで「BASE」の購入体験ができる場の創出、イベント取材をメインとしたアプリコンテンツの制作、商品の共同制作を行っていく予定だという。業種の異なる両社の提携はどのようにして生まれたのか──BASEの鶴岡裕太、アソビシステムの中川悠介に話を聞いた。

可能性を秘めたプロダクトを発掘したい

「もともと、弊社のタレントがBASEでショップを作成していたんですよね。だから、BASEのことは前から知っていましたし、興味もありました」

今回の提携の経緯について、中川はこう切り出す。鶴岡には知人の紹介を通じて、コンタクトをとったという。鶴岡も次のように語る。

「僕も中川さんには以前から会いたくて(笑)。現在、BASEでは約40万店舗が出品しているのですが、認知してもらえる機会がない。アソビシステムに所属するタレントの力を借りれば、より多くの人に知ってもらえると思ったんです」

お互いのニーズがマッチし、実現した両社の提携。その第1弾プロジェクトとしてスタートしたのが、アソビシステムのタレントと一緒にリアルの場でBASE出店店舗の商品が購入できるイベント「ASOBASE(アソベイス)」だ。

同イベントは下北沢ゲージにて、9月8日〜10日の3日間限定で開催された。


多くの人が足を運んだ「ASOBASE」

イベント当日は、さまざまな年代の人が下北沢ケージでお酒を片手にショッピングを楽しんだという。

「ASOBASEにはアソビシステム、下北沢といった単語に興味を持った人も集まる。今までBASEや出店店舗のことを知らなかった人たちにも、存在を知ってもらえる良い機会になるんです」

BASEの鶴岡はイベント開催の手応えを、こう口にする。また、今回の提携ではリアルイベントの開催に限らず、アソビシステム所属のタレントがイベントを訪れてアプリコンテンツを作成したり、商品を共同制作して「ASOBIモール」で販売したり、といったことも行っていく予定だ。先日、渋谷ヒカリエで開催された「BASEでみつけるインスタジェニックなうつわ展」では、モデルの柴田紗希が会場でオススメ商品を紹介した。

「タレントがイベントに訪れ、心から共感した商品を紹介すれば、商品が持つ価値をユーザーにきちんと届けることができる」とアソビシステムの中川は語る。この取り組みを通じて所属タレントの露出、認知拡大も狙っていくつもりだという。

「リアルの場で売る」ことの意味が変わってきている

野村総合研究所(NRI)の予測によれば、2020年には20兆円を突破するなど、急拡大を続けるEコマースの市場規模。その一方で、百貨店の売上高は36年ぶりに6兆円を割り込むなど、減少の一途をたどる。そうした中、なぜBASEとアソビシステムは”リアルの場”での取り組みを推し進めるのか。

その背景にあるのは、購買体験の原点回帰だ。Eコマースが普及し、オンラインでモノを購入することが当たり前になった一方で、近年ではスマートフォン上では伝わらない質感や触感が重要視されるようになってきたと鶴岡は語る。

「数年前まではネットで商品を売ることのニーズが高かったのですが、最近は直接販売するニーズが高まってきている。Eコマースが普及したからこそ、リアルの場で売ることの意味が変わってきているんですよね」

「Eコマースの台頭で、実店舗は終わった」──そう語られることが多くなってきたが、Eコマースは実店舗を侵食するものではない。それが鶴岡、中川の見解だ。



「音楽業界においてライブビジネスが成長しているように、現在は”体験”が求められるようになっている。これは音楽業界に限った話ではなく、小売業界も同じ。いつの時代もリアルの場の重要性は変わらない」

アソビシステムの中川はこう語り、下北沢で開催されたイベントを手始めに「ASOBASE」を全国展開していくつもりだという。

「こうした取り組みによって、実店舗の売上が復活することも全然考えられる。Eコマースと実店舗は共存していくもの。今後、いろんなチャレンジをしていければ」と鶴岡は今後の抱負を力強く語った。