リーグ開幕戦以来の出場できっちり結果を出した堂安。さらなるアピールなるか!? (C)Getty Images

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 堂安律が9月21日のKNVBカップ1回戦で、オランダ公式戦初ゴールを記録した。
 
 この日の堂安はベンチスタート。フローニンゲンはアマチュアのヘルクレスに先制点を奪われるなど大苦戦を演じる。辛うじて1対1で試合を折り返すと、アーネスト・ファーバー監督は躊躇なく、堂安を後半開始からピッチへ送り込んだ。
 
 浪速の至宝はたった「43秒」で指揮官の期待に応える。右サイドハーフの堂安は中へ絞ってボールを受けると、CFマヒ―とのワンツーで一気にヘルクレス守備陣の裏へ。フリーで抜け出して左足を振り抜くと、シュートは相手GKの股間を通ってゴールに吸い込まれ、フローニンゲンが2対1と勝ち越した。
 
「あれは得意な形です。ワンタッチでパスを出して、(ペナルティーエリアの)中に入っていくというのは狙っていた」
 
 堂安のゴールが呼び水となってフローニンゲンは後半に3点を連取。終盤に1点を返されたものの、4対2で勝利し、2回戦進出を決めた。
 
 立ち上がりから見せた堂安の積極的なアクション。その背景には、「小林祐希との日本人対決」としても注目を集めたオランダリーグ開幕戦、対ヘーレンフェーン(8月13日)で消極的なプレーに終始した自分への後悔があった。せっかく開幕スタメンの座を掴んだにも関わらず、アピールに失敗し、63分にベンチへ下げられてしまったのだ。以降、堂安はヘルクレス戦まで出場機会がなかった。
 
「開幕戦で少し後悔した部分がありました。(今日は)ミスしても、後悔のないミスの仕方をしようと思ってピッチに立ったので、それが良い形になったのかなと思います」
 
 あれから1か月あまり。堂安のプレーを見ていると、いくつかの課題を克服しようと過ごしてきた跡が伝わってくる。「守備でのチームに対する貢献が少ない」と指摘されただけに、ヘルクレス戦では自陣ペナルティーエリアの中で相手のシュートを果敢にブロック。そこから反対側のペナルティーエリアまでロングスプリントし、カウンターに加わった。フィジカル面も同様だ。遠く観客席から堂安の姿を見ていても、筋肉が盛り上がっているのがハッキリと分かる。
 
「いまは努力の仕方というのが分かってきた」と言いながらも、「ただ、失点したので……」と声を落とす。86分、堂安がマークすべき選手に決められてしまったのだ。目に見える活躍を果たしても、まだまだ反省材料は尽きない。
 
 
 そんな堂安にチームメートが「ゴールを決めて良かったな」と言わんばかりに、ポンポン頭を叩いてチームバスへ向かっていく。試合後のロッカールームは、祝福の嵐だったようだ。
 
「はい、多いですね。Jリーグの初ゴールよりも(多い)。Jリーグの時は『やっとか』という感じだったので。今回はバンバン頭を叩かれた感じです(笑)」
 
 少し前に痛めた足首はまだ治り切っていない。堂安は「たぶん、明日も痛くなると思います」と言う。それでも3日後のオランダリーグ、対トゥベンテ戦には「もちろん出たいです」と意気込む。
 
「ファーストゴールを獲れたので正直、気持ちは楽です。『(ゴールを)決めんでもいいや』という気持ちで試合に臨めば、よりチャンスが回ってくると思うんです。気負いすぎずにプレーできると思います」
 
 堂安にはオランダ人から「小野伸二、本田圭佑を継ぐ日本人」という高い期待が寄せられていた。また、本人にも「開幕からゴールを決めてやる」という強い想いがあったという。そんなさまざまな積み重ねが気負いとなって、プレーの足かせになっていたのだろう。
 
 しかし、それももう外れた。
 
 堂安律が本領を発揮するのは、まさにこれからだ。
 
取材・文:中田徹