「Thinkstock」より

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亮子「生命保険会社からの控除証明書とか、税金の計算に必要な書類って、保管が難しいよね。なくしてしまった場合、保険会社が再発行してくれることもあるみたいだけど」

啓子「住宅ローン控除のための証明書なども税金の計算に必要になりますし、毎年、封筒を1枚用意して、そこにどんどん貯めていくといいですね」

亮子「いろいろな保険会社と契約していると、それぞれから送られてくるから、人によってはかなりの枚数になりそうだね」

啓子「保険の一覧表をつくっておくと便利ですよ。そして最大限控除を利用したいですね」

●住民税に関する生命保険料控除の計算の必要はなし

 所得税と住民税について、生命保険料控除の上限額を整理すると、以下のようになります。住民税については、所得税と別に計算する必要はなく、所得税の生命保険料控除の内容に応じて、自動的に計算されます。

●生命保険料控除の適用方法

 生命保険料控除を受けるためには、年末調整もしくは確定申告が必要になります。大半の会社員の方は「年末調整」により所得の申告が完結します。この年末調整の時に会社から配られる「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」に支払保険料の情報を記載して会社に提出することで、生命保険料控除を受けることができます。年末調整は年末年始にかけて行いますので、通常、10月から12月頃に配布されるはずです。この申告書と一緒に生命保険料控除の控除証明書も会社に提出することになります。

 もし、保険料について情報を会社に開示したくないという場合には、年末調整後に確定申告することで、生命保険料控除を適用するという方法もあります。

 生命保険料の記載場所は図の赤枠内です。1月1日〜12月31日に支払った金額が計算基礎となります。保険会社から送付される「控除証明書」で金額を確認しながら記載してください。計算する際に必要な「旧契約」と「新契約」との分類、「一般」「介護医療」「個人年金」の分類は、控除証明書に記載されています。

 年末調整で生命保険料控除を申請できていれば、会社が計算をして必要な情報を地方自治体に提出してくれます。繰り返しになりますが、その情報をもとに地方自治体が住民税を計算するため、住民税について追加の手続きは不要となっています。

●気を付けたいケースその1:年の途中で保険を解約した時

 その年の途中で生命保険を解約した場合でも、解約前に支払った保険料については生命保険料控除を受けることができます。解約したことに伴って受け取る一時金などは、基本的には「一時所得」という所得として課税されるため、支払った保険料の金額から受け取った金額を控除する必要はありません。「この保険はもう解約したものだから」と、控除証明書を廃棄しないように気を付けてくださいね。

●気を付けたいケースその2:過去の申告において生命保険料控除の適用が漏れていた時

 過去に生命保険料控除を適用しそびれてしまったという場合、もしくは、一番有利な生命保険料控除を受けていなかったという場合には、「還付申告」を行うことで過去の税金を修正することができます。その際、納めすぎてしまった所得税を還付してもらう(=納めすぎた税金を戻してもらう)ための手続きが必要となります。

 確定申告をしていない会社員が還付申告をするためには、源泉徴収票と生命保険料の控除証明書、確定申告書用紙(国税庁ウェブサイトや税務署などで入手することができます)が必要です。確定申告書用紙に必要事項(収入や生命保険料の控除額等)を記入し、源泉徴収票と控除証明書を添付し、資料一式を税務署に提出することで還付申告をすることができます。

 また、還付申告の有効期限は対象期間の翌1月1日から5年間とされています。例えば、平成28年1月〜12月の税金について還付申告することができる期間は、平成29年1月〜平成33年12月までの5年間となります。会社の年末調整の際に資料の提出漏れや申告漏れがあった場合でも、税金計算を修正することで税金が戻ってくるかもしれませんので、確認してみてください。

●地震保険料控除

 いわゆる地震保険の保険料についても、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを地震保険料控除といいます。また、平成19年、損害保険料控除は廃止されましたが、経過措置として一定の長期損害保険契約等に係る損害保険料については、地震保険料控除の対象とすることができます。以下の要件を満たす長期損額保険契約は、地震保険料控除の対象となります。

(1)平成18年12月31日までに締結した契約(保険期間又は共済期間の始期が平成19年1月1日以後のものは除く)
(2)満期返戻金等のあるもので保険期間又は共済期間が10年以上の契約
(3)平成19年1月1日以後にその損害保険契約等の変更をしていないもの

 所得税の地震保険料控除の額は、以下の通りです。

 地震保険料控除も生命保険料控除と同様、年末調整または確定申告により適用可能です。控除証明書が必要になりますので、保険会社からの書類をしっかりと保管しておくようにしてください。

亮子「生命保険料控除も地震保険料控除も、所得控除なので、それによってどれくらい節税になるかは、その人の税率によって変わる。でも、払っている以上は利用しないと、もったいないよね」

啓子「年末調整でも確定申告でも、金額を書き込んで、控除証明書を添付するだけなので、難しい手続きではありません」

亮子「ポイントは『控除証明書をきちんと保管しておくこと』かな?」

啓子「そして、年末調整で控除できた場合には源泉徴収票に記載されていますから、きちんと確認してください。漏れている場合には還付申告が可能ですから!」
(文=平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表、徳光啓子/公認会計士)