(写真提供=MAXQ)

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“マッスル・ブーム”が盛り上がりを見せている韓国。もともと高かった健康志向に加え、ただ痩せるのではなく体を鍛えて美しい美ボディを手にしようとするムーブメントは、前回紹介した通り、「マッスルマニア」という大会がひとつのきっかけにもなった。

その「マッスルマニア」からは数多くのフィットネス・タレントが誕生している。今年4月に行われた「マッスルマニア・アジアチャンピオンシップ」も大盛況だった。

興味深いのは“マッスル・ブーム”を機に、韓国のフィットネス市場でも変化が起きていることだろう。

マッスル美女たちの雑誌や運動器具も人気

「マッスルマニア」を主催するSPOMAXのキム・グンボン代表は語る。

「SPOMAXではサプリメントなどの健康食品やフィットネス専門誌も取り扱っているのですが、ここ数年、順調に売れ上げを伸ばしいています。健康食品を扱う企業もこの10年で急増しており、競争も激しいです」

例えばフィットネス専門誌『MAXQ』だ。

マッスル美女やボディビルダーたちのトレーニング・ノウハウを、ときに刺激的なグラビアなどで詳しく掲載している同誌は、その人気の高さから今年の7月号から韓国国防部の定期刊行物に指定され、軍人たちに配布されている。

トレーニング関連器具の売れ行きも好調らしい。

2015年の「マッスルマニア・ユニバース世界大会選抜戦で、スポーツモデル部門とミズ・ビキニ部門の2冠を達成した“脱アジア級スタイル”レイヤンが自ら企画に携わったという室内トレーニング器具が発売されているほどだ。

日本のライザップを彷彿させるトレンド

イベント、出版、健康食品にトレーニング器具。ダイエットやフィットネスが様々なビジスネになっており、それは日本のライザップのようなビジネス展開にも似ている。

「日本のライザップをご存じですか?」とキム代表に問うと、「もちろん!!」と前置きしてこう言うのだ。

「日本のライザップもそうですが、健康管理ノウハウやイベント、商品さえも関連付けてひとつの枠組みのなかで“健康”を売り出すことが、今やフィットネス業界のトレンドとなっているんです」

ただ、これまで食事制限やサプリメントで“楽して痩せたい”と願う人々が多かった韓国で、健康的に美しくなろうというムードが広がっていることは意外にも思える。

キム代表はその背景について、こう分析する。

「韓国人の考え方が変わったのではないでしょうか。正しい情報に接する機会が増え、健康とスポーツに対する認識が変化したと感じています」

SNSから刺激を得るマッスル・ブーム

その変化を生み出した最も大きな要因は、インターネットの普及にあったとキム代表は考えている。

「これまでは不確かな情報にしか接することができず、ダイエットや体づくりにおいて戸惑いがあったと思います。どうすれば贅肉が落ちるのか、どうすれば筋肉を付けられるのかが理解されていませんでした。

しかし、インターネットが普及したことで、トレーニングや食事に関する情報に容易にアクセスできるようになり、人々がトレーニングの重要性を認識し始めたのです」

端的な例が“マッスル・ブーム”の火付け役にして“奇跡のDカップ女神ボディ”と呼ばれるユ・スンオクだろう。彼女のインスタグラムのフォロワーは18万人以上おり、インスタグラムに写真を上げるだけで記事になるほどの人気ぶりなのだ。
(参考記事:写真をアップするだけで記事になる!! “奇跡のDカップボディ女神”ユ・スンオクのSNSがスゴい!!

そしてSNSがブームの火つけ役になっているという点では日本と同じだ。

日本では、中村アンやローラ、榮倉奈々や松岡茉優などタレントや女優といった芸能人たちが、自身のSNSで割れた腹筋を惜しげもなく披露するなどして“腹筋女子”なる造語も生まれた。

今やSNSはあらゆる流行の発信源になっているが、日本と韓国の両方でSNSを起点とした“美ボディ”ブームが起きていることは見逃せない。

多くの一般大衆たちがSNSで公開される“時代のアイコン”たちの“美ボディ”を見ながら、「いつか自分も」という理想の姿を重ねるのだろう。キム代表も語る。

「誰かに憧れたり、唐突もなく自分の殻を破ってみたいと思ったり、体を鍛えることになるきっかけは人それぞれです。私の場合は、とにかく子供の頃から体を鍛えるよう、父から教わりました。“体が健康なら心も健康になり、人生も豊かになる”。子供の頃から父にそう叩き込まれたのです」

体が健康なら心も健康になる。心身ともに健康なら人生も豊かになる。これが自身の人生哲学であり、「マッスルマニア」が世の中に訴えたいメッセージだというキム・グンボム代表。

実際、過去の「マッスルマニア」では、体を鍛えることで豊かな人生を手にした例も少なくないらしい。その事例については、またの機会に紹介しよう。

(文=慎 武宏)