健康に良い食品としてすっかり定番となった、納豆やヨーグルト、みそ、キムチなどの「発酵食品」。これらは、発酵することで保存性に優れ、腐らないイメージがありますが、多くの商品パッケージには賞味期限が記されています。しかも納豆やヨーグルトの場合は8〜10日前後。発酵食品もほかの食品と同様に、腐ってしまうのでしょうか。

 オトナンサー編集部では、日本発酵文化協会の藤本倫子さん(上級認定講師・発酵マイスター)に聞きました。

発酵食品の多くは発酵を止めている?

 そもそも、藤本さんによると「発酵」と「腐敗」はいずれも微生物が糖質やタンパク質、脂質などの有機物を分解してエネルギー代謝を行うことで、物質が分解・変化することをいいます。発酵を担うのは、3大発酵菌と呼ばれる細菌やカビ、酵母の仲間です。

 一方で、食材を腐敗させるのもこの発酵菌の仲間たちですが、これらは腐敗菌と呼ばれています。発酵と腐敗は人にとって有益か有害かによって分けられますが、両者の境界線は文化や環境によって異なるそうです。

「理論上、発酵食品が腐敗する可能性は低いと言えます。それは、発酵食品ができ上がる過程で発酵菌が増殖し、ここに腐敗菌が入り込むのは難しいからです。しかし、発酵食品の多くは、食品流通における衛生上の問題から殺菌処理がなされ、発酵を止めています。そのため、食品が傷みやすくなるのです」(藤本さん)

 また、市販の発酵食品はどのように発酵を止めているか不明なものが数多く存在します。賞味期限が必要なのは以上の理由からです。

【食材別】腐敗などを見極めるための基準

 発酵食品は基本的に賞味期限を目安に食べ切るべきですが、腐敗などを見極める食材別の基準は以下の通りです。

【納豆】

 納豆は、大豆を蒸し煮した後、熱々の大豆に納豆菌を加えてパック詰めします。熱々の状態に納豆菌を加えることでほかの菌を殺菌し、納豆菌だけが繁殖できる状態ができます。納豆菌は温かい温度と高湿度の条件で繁殖し、おいしい納豆ができ上がるのです。

 納豆は、食べ頃になったタイミングで温度を下げて発酵を止め、出荷されます。しかし、出荷後も納豆菌が残した酵素によって大豆のたんぱく質の分解が継続し、納豆の表面に、白い結晶が見えるようになります。これは、旨味成分のアミノ酸ですが、納豆の糸引きが悪くなる原因でもあり、発酵の進みすぎで従来の風味が弱まっています。

【ヨーグルト】

 変色や異臭があれば腐っている可能性大。開封後は傷みやすくなるため、早めに食べ切りましょう。長期間保存するとたまる上澄み液(ホエー)は問題ありません。

【キムチ】

 乳酸発酵しているキムチは、時間とともに味や食感、酸味の度合いが変化し続けます。自分好みの酸味になったタイミングで食べる人が多く、賞味期限を気にする必要はあまりありません。一方、キムチの素などを使って、即席で作られているキムチは乳酸発酵していないため、賞味期限が短めになっています。乳酸発酵のキムチは冷蔵保存が基本。長期保存も可能ですが、あまりにもすっぱくなりすぎた場合は、炒め物や鍋にいれると、酸味が旨味に変化しておいしく食べられます。

カビの発生→腐敗の可能性大

【みそ】

 みそは長期間保存しても腐敗しませんが、空気に触れると風味が落ちやすくなるため、開封後は表面をラップで覆い、冷蔵庫で保存するのがベストです。開封後、長期間放置するとまれに白カビのようなものが表面に発生しますが、これは産膜酵母の一種。食べても問題ありませんが、風味が損なわれるので取り除きます。熟成が進むことで色が濃くなる場合もありますが、これは旨味成分が増えている証拠です。

「全体として、発酵食品は微生物の力でできています。とりわけ、緑、青、黒、赤などのカビが発生しているものは腐敗の可能性が高いので要注意です」

(オトナンサー編集部)