マツモトキヨシの店舗(撮影=編集部)

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 ドラッグストア大手のツルハホールディングス(HD)は、静岡県が地盤の杏林堂薬局を子会社にする。9月下旬に親会社の杏林堂グループ・ホールディングスの株式を創業家一族から51%取得する。

 ツルハHDの2017年5月期の売上高は前期比9%増の5770億円、営業利益は18%増の370億円。杏林堂薬局の17年4月期の売上高は同7%増の894億円、営業利益は7%増の27億円。単純合算で売上高は6664億円、営業利益は397億円、店舗数は1832店となる。

 ツルハHD以外のドラッグストア大手の業績は次の通り。

 イオン系のウエルシアホールディングス(HD)は、17年2月期の売上高は同18%増の6231億円、営業利益は28%増の240億円、店舗数は1535店。

 都市型ドラッグストアの草分けであるマツモトキヨシホールディングス(HD)は、17年3月期の売上高は同0.2%減の5351億円、営業利益は4%増の284億円、店舗数は1555店。

 東京西部で展開するサンドラッグは、17年3月期の売上高は同5%増の5283億円、営業利益は3%増の340億円、店舗数は1070店。

 九州が主力のコスモス薬品は、17年5月期の売上高は同12%増の5027億円、営業利益は19%増の222億円、店舗数は827店。

 ツルハHDは杏林堂薬局を子会社にすることで、売上高はウエルシアHDを抜き首位。店舗数もマツモトキヨシHDを上回り最多となる。

●マツモトキヨシHDが3位に転落

 大手5社の売上高が5000〜6000億円でひしめき合うドラッグストア業界は、戦国乱世の様相をみせている。

 今年最大の出来事は、“業界の盟主”として22年間君臨してきたマツモトキヨシHDが売り上げ首位の座から滑り落ちたことだ。

 16年度連結決算は、大手5社のなかでマツモトキヨシHDだけが減収だった。M&A(合併・買収)や新規出店に積極的な他社と、合理化を優先するマツモトキヨシHDの戦略の違いが出た。

 その結果、マツモトキヨシHDは業界トップの座をウエルシアHDに明け渡した。しかも今回、ツルハHDにも抜かれて3位に転落した。背後からサンドラッグとコスモス薬品がひたひたと迫ってくる。

 マツモトキヨシHDの失速は、はっきりと株式時価総額に映し出された。時価総額(8月31日終値時点)はツルハHDが6409億円でトップ。サンドラッグ(6118億円)、コスモス薬品(4986億円)、ウエルシアHD(4522億円)と続き、マツモトキヨシHDは4086億円で5位だ。
 
 ドラッグストア再編の口火を切ったのは、流通最大手のイオンだった。ドラッグストアを成長事業と位置付け15年9月、イオン傘下のウエルシアHDが、イオン系列のCFSコーポレーションを完全子会社とした。これでマツモトキヨシと並んだ。17年2月期決算でCFSの売り上げが通期で寄与したため、ウエルシアHDは6231億円となり、マツモトキヨシHDを抜きトップに立った。

 だが、ウエルシアHDは“三日天下”で終わった。ツルハHDが杏林堂薬局を買収して首位に躍り出たからだ。今後は、抜きつ抜かれつのデッドヒートが繰り広げられることになるだろう。

 再編劇は、これからが本番かもしれない。ツルハHDは、イオンが音頭を取って結成したドラッグストア連合「ハピコム」のリーダー的存在だからだ。

 イオンはツルハHDの議決権ベースで13.14%(自己株式控除、17年5月期末時点)の株式を保有する筆頭株主。イオンの岡田元也社長兼グループCEO(最高経営責任者)は、ツルハHDの取締役相談役(社外取締役)を兼務している。

 北陸で最大のクスリのアオキホールディングス(HD)は、ツルハHDと親密な関係にある。クスリのアオキHDの17年5月期の売上高は1887億円、営業利益は106億円だった。

 ツルハHDの事業子会社ツルハが議決権ベースで5.14%(自己株式控除、17年5月期末時点)を保有。ツルハHDの鶴羽樹会長とクスリのアオキHDの青木桂生会長が、お互いの会社で社外取締役を務める。岡田氏もクスリのアオキHDの社外取締役だ。業界関係者は、「ツルハとクスリのアオキが将来一緒になるのは既定路線」とみている。

 さらにその先に、業界トップに立ったツルハHDが近い将来、ウエルシア連合(=イオン連合)に合流するとの見方がある。そうなれば、売上高が1兆5000億円規模の巨大なドラッグストア連合が誕生する。

 大手同士の合従連衡が進むなかで、マツモトキヨシHDはどう反撃するのか。ずるずると3位に後退したままでいるとは考えにくい。かつてドラッグストアの代名詞だったマツモトキヨシHDは正念場を迎えている。
(文=編集部)