先日、米国の「ビタミンとライフスタイル研究(VITAL研究)」から、ビタミンB群サプリメントの長期服用で、男性の肺がんリスクが上昇するとの報告があった。

 VITAL研究は米ワシントン州在住のサプリの愛用者、およそ7万7000人を対象とした調査。サプリ摂取とがんとの関連を検討している。登録時年齢は50〜76歳で、男女比はほぼ1対1だった。

 これまで魚油サプリが乳がんの発症リスクを抑制することなどを明らかにしており、今回は肺がんを発症した808人について解析している。

 その結果、過去10年間に1日平均20mg以上ビタミンB6を摂取していた男性は、非摂取者に比べ肺がん発症リスクが1.8倍に上昇。ビタミンB12の平均摂取量が1日平均50マイクログラム超では、発症リスクが倍増することが判明した。

 喫煙者はビタミンB6とB12の過剰摂取が「上乗せリスク」になるようで、同じ摂取量でもB6摂取者の発症リスクは約3倍、B12では3.7倍に上昇している。

 一方、女性ではビタミンB群摂取と肺がん発症との関連は認められなかった。研究者はビタミンB群の過剰摂取は肺がん抑制につながらず、特に男性の喫煙者は害が勝るようだとしている。

 葉酸(B9)やB6、B12などビタミンB群のサプリと発がんリスクについては、相反する報告が複数あり「善悪」の決着はいまだについていない。

 ただ、ここ数年の研究をみる限り、サプリを飲み始める時期にすでに「がんのタネ」が潜んでいると、代謝を促進するビタミンB群の過剰作用でがん抑制系の遺伝子に異常が生じると考えられている。

 ようは「身体に良い作用」でも、食事で摂取する量を遙かに超えると有害作用に転じてしまうのだ。

 同研究の参加者の9割は白人種で、結果を日本人に一律に当てはめるわけにはいかないが、何事によらず過剰は禁物。

 日本人の食事摂取基準によると、成人男性のB6摂取推奨量は1日1.4mg。上限量は50〜60mg。B12の推奨量は2.4マイクログラムだ。サプリ愛好者は成分表示を確認しよう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)