あなたの遊び方、間違っていないだろうか?

大人になり、ある程度の経済力を手にすると、遊び方の流儀が問われるようになる。

酸いも甘いも経験し、東京で遊び尽くした港区民たちの、次なる遊び方。

そんな彼らの最新事情を、飲食店経営者であり港区おじさんジュニアと呼ばれる剛(32歳)が探っていく。

これまでに、パーティールームで興じるトランプの楽しさや食事会のためだけに香港へ飛ぶ港区女子、 酒ではなくお茶をたしなむ港区ティーパーティーなどを学んできた。

さて、今週は?




「真衣ちゃん、この写真見てよ。今年の夏に佐島でクルージングをしたんだけど、“フライボード”って 知ってる?これが結構楽しいんだよ。」

数人で楽しそうにクルージングしている男女の写真と、“フライボード”と呼ばれる、まるで空中を飛んでいるかのような写真を、翔吾さんが嬉しそうに見せている。

「水上バイクから噴出された水を利用するんだけど、すっかりハマっちゃってさあ!」




「へぇ〜面白い!すごいですね〜。さすが翔吾さん。」

全く興味なさそうにそう言う真衣を横目に、翔吾さんは意気揚々と説明を続けている。

「最新のマリンスポーツなんだよ。簡単そうに見えるけど、バランスを取るのが難しくて......」

最近、よく思うことがある。

港区おじさんは新しいもの、最新ガジェット系が大好きなのだ。

意味の分からない(と言ったらまた怒られそうだが)、どこから見つけてきたのか分からぬようなアイテムをやたらと持っているし、知っている。

ちなみに、港区おじさんたちの携帯電話は常に最新機種だ(しかしアプリ系にはとことん疎い)。

VRのゲーム機が発売された時には、誰よりも早く買っていた気がする。

若者もびっくりの食いつきようなのである。


成功の証なのか!?やたらとスピーカーにお金をかける港区民たち


何故そこに?スピーカーに数十万を費やす港区民


そして僕は港区の中でも、特に成功している部類の人たちの家に何軒か行った結果、ある一つのことに気がついた。

やたらと皆、スピーカーにお金を投資しているのだ。

どの家に行ってもいわゆる高級スピーカーというものが完全装備されており、そのこだわりには並々ならぬ情熱を感じる。

“年齢と共に耳が遠くなるから良質な音を聞きたい”、なんて翔吾さんは冗談交じりに言っていたが、こだわりが凄い。

リビングに設置されたスピーカーの値段をそっと聞いたところ、具体的な数字は教えてくれなかったものの、1本で国産車と同じくらいかそれ以上の値段だろうと推測している。

そしてまた不思議なもので、家具ばかりに気を取られている人は港区の中でもまだ中堅。ミュージシャン以外でスピーカーに投資している人たちは、財力に関係なく、皆から慕われている人たちが多いことに気がつく。

スピーカーと港区。
何か因果関係があるのだろうか...




「剛も、来年は遊びに来いよ。」

まだ真衣にフライボードの画像を見せている翔吾さんに対して、もちろんです!と大きく返事した。

「そうそう、あとこれもこないだ海外で見つけたんだけど...」

また別の最新ガジェットを、翔吾さんは真衣に見せている。

その一方で、また真衣はつまらなそうな顔をしながら、なんと全く同じセリフで翔吾さんを褒めているではないか。

「へぇ〜面白い!すごいですね〜。さすが翔吾さん。」

僕は最新ガジェットより、この真衣の態度が気になって仕方がなかった。これに対して、翔吾さんは何も突っ込まないのか!?

しかし翔吾さんは全く気づかぬ様子で、意気揚々とその製品の凄いところを話し続けている。

それにしても、何故そんなに新しいガジェットが好きなのだろうか。

小さな脳みそを一生懸命フル回転させていると、翔吾さんから面白い一言が飛び出した。

「なぜ俺らが、こんな機械にワクワクしているか?簡単だよ、みんな少年だからだ。」

40歳を過ぎたおじさんが、自分のことを“少年”と呼ぶことに違和感を覚えずにはいられない。

「港区で遊んでいる大人たちは、皆少年少女の心を持ったまま、成長できていないんだよ。ここで遊んでいると、童心に帰る時があるだろ?言うならば、港区は一種のネバーランドだからな。 」


詰まるところ、5歳児から欲しいものが何も変わっていない港区男子!?


港区ネバーランド説


はたから見ると腐敗しており、欲望に満ち溢れている港区。しかし一度財力を手にし、一通り遊んだ結果、皆究極にシンプルな欲望へと原点回帰する。

-女に、モテたい。男友達と、楽しく遊びたい。

彼らの根本にあるのは5歳児から何も変わっていない(男なんて、皆そういう生き物かもしれないが)。

友情が大事だし、ゲームや乗り物が大好き。 可愛い子がいたら、ついちょっかいを出したくなる。

そんな幼稚園児と同じ欲望を持った大人たちは皆、少年のように自分の欲望に素直なのだ。

少年の頃に夢見た物を、今かき集めている。

乗り物は高級車やクルーザーだって買うことができるようになったし、欲しかったゲームも何でも買える。

また、可愛い子は財力のお陰で自分へとなびかせることができる。

一度でも欲しいと思った物は、ガキ大将のように、とりあえず自分の物にしたがる。

手に入れるまでの執念たるや並大抵ではない。しかし一通り遊ぶとすぐに飽きる(きっとこの感覚が、港区女子を生むのだろう)。




怖いもの知らずで、積極的に新しいものを取り入れる姿勢からは、ある意味学ぶべきことも多い。

-彼らの少年のようなシンプルな欲望が、ギラギラと輝き続ける港区を作り上げているのかもしれないなぁ...

なんて一人で考えていると、翔吾さんが急に真顔になった。

「しかし今度のiPhone X、顔認証が搭載されるんだろう?それって、自分が寝ている時に女房に顔認証されて、携帯のロックが勝手に外されたらどうするんだろうな。」

この悩みは、まるで悪いことをして母親にバレたらどうしようかと心配する少年と全く同じ悩みである。

「ヤダァー、そんな奥さんに見られたらまずいLINEばかりしてるの?」

真衣がまた、わざとらしく笑っていた。

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