日本初の「4コマ漫画専門SNS」について、運営元のナックルボール株式会社代表取締役の日野雄介さんに取材した。

4コマ専門SNS「4コマgram」

札幌市のナックルボール株式会社は8月9日、4コマ漫画専門のSNS「4コマgram」をリリースした。

誰もが手軽に「4コマ漫画」を読んだり描いたりできるサービスで、日本中から毎日多くの作品が投稿されている。

出典:「ナックルボール株式会社」Press release

Twitter人気作家も投稿

人気の投稿作品を聞いたところ、「イチオシがたくさんありすぎて絞るのが大変ですが…」とした上で、次の3作品を紹介してくれた。

【やしろあずき作・母親との壮絶なトイレ争奪戦の話】

◆この圧倒的なオリジナリティ溢れる画力と、バカバカしいことをさらにバカバカしく紹介できる目線が魅力です。Twitterでも大人気の作家さんです。(日野さん)

提供:ナックルボール「やしろあずき作・母親との壮絶なトイレ争奪戦の話」

【せきの作・口裂け女】

◆仕事で先輩や同僚や部下などの絵コンテを死ぬほどたくさん見てきましたけど、こんなに膝のチカラが抜けるほど面白いと思ったことはありません。4コマの特性をうまく活かす天才だと思いました。(日野さん)

提供:ナックルボール「せきの作・口裂け女」

【ジョンソンともゆき作・シャッフル】

◆4コマ漫画の良いところは、画力はそれほど問題ではないところです。人にちゃんと伝わり、ちゃんと面白ければウケます。この漫画はその典型かもしれません。

そして、必ずオチがなければいけないというわけではなく「オチ切らせない面白さ」というのを描くのが抜群に面白い作家さんです。

提供:ナックルボール「ジョンソンともゆき作・シャッフル」

人気作者には「ギャラ」配分も

投稿方法は「PC上で描いた漫画を、1コマずつアップロードする方法」と、「紙に描いた4コマ漫画を1コマずつ撮影してアップロードする方法」の2種類。

現在は普段からブログやTwitterで本格的に漫画を描いている方たちからの投稿が多いため、1つ目の方法での投稿が圧倒的に多いです。

しかし、いつかはパソコンで絵を描くスキルはないけど投稿したいという人が増えることを理想としており、2つ目の機能を使った投稿者が増えていくという希望的観測を持っております。

描く側にもメリットを感じてもらうために、同サイト運営に「プロ」「レジェンド」と認定された人には、広告収入の中から「いいね!」の数等によってギャラを分配する仕組みを取り入れている。

出典:「ナックルボール」Press release

短時間で満足できるコンテンツ=4コマ

なぜ、「4コマ漫画」なのか。

テキストコンテンツから「これからは動画だ!」と言われた時期があり、その動画も3分がスタンダードだったけど、最近は「それすら長い、1分だ!」とシフトしてきています。

スマホの中でいかに短時間で満足できるコンテンツを作るか?

そう考えたときに辿り着いたのが、4コマ漫画でした。

日野さんはキャリア20年のCMプランナーで、絵コンテを描く日々を送っているため、漫画のようなコマ割りのイラストが身近な存在だったこともあったそう。

経験上、これが6コマとかになると説明的なコマがあったりしてダレちゃうんですよね。

そこで完全に4コマというギリギリの制限の中で面白さを凝縮させるコンテンツを作家さんたちに投稿してもらうことにしました。

投稿作品は必ずサイトに掲載

サービス開始にあたって、「投稿してもらった4コマ漫画をすべて見せることの是非」に相当頭を悩ませたという。

面白くないものやロリコンものなど、何でもかんでも掲載するとサイトのクオリティに影響してしまいます。

老若男女が楽しめて、しかも常識ある人やそれなりの地位にいる方にも面白いと思ってもらえるメディアを目指しているため、どうしても運営側でキュレーションする必要性を感じていました。

しかし、せっかく投稿してもまったく掲載されないというのは、作家さんたちのモチベーションの低下を招いてしまう懸念があり、投稿したものは必ずサイトに掲載することにしました。

投稿作品は一旦「保存庫」に格納され、そこから面白いものが「新着コーナー」に、さらに面白いものが「おすすめコーナー」に移動していく仕組みを選んだ。

選ばれなかった投稿者の方からはご不満を抱かれると思うのですが、ここは胸が痛むところです。

提供:ナックルボール

閲覧数は目標の3倍

同サイトを開設後、予想以上の投稿者と読者が集まっているという。

最初は作家さんが集まるのか不安でしたが、思っていた以上に投稿者は増えています。

サービス開始から1か月半で作家さんは50人以上、投稿数は150以上になります。閲覧数も当初の目標の3倍で、これは伸びるぞという自信がつきました。

読者さんからのウケは相当良くて、Twitter、Facebook、Instagramでもたくさんのいいね!が押されています。

投稿者からは「4コマ漫画にスポットを当ててくれるメディアができてうれしい」という声がある反面、自分の作品が保存庫に入ったままだったり、プロに昇格できないことを不満に思う声が届いているという。

こればかりは、CMという世の中の人たちに届く表現を20年続けてきた運営者の審美眼を信じてもらうしかありません。

「みんなが理解できるかどうか」という基本的なところをクリアできていないものや、他人を喜ばせたいという気持ちが薄いものは、やはり保存庫止まりになってしまいます。

同社は先日、元楽天の島田亨氏ら投資家2人から資金調達を完了。人材確保とサービス拡大に向けて動いている。

新たな「4コマ漫画文化」を創出へ

サービスに込める思いと今後のビジョンを聞いた。

ネットを見回すとかなりの数の4コマ漫画の作家さんがいるのに、それぞれが点在しているせいで4コマ漫画が脚光を浴びることがありませんでした。

しかし、日本で初めての4コマ漫画専門SNSという、まだ誰もやったことがないことで4コマ漫画を盛り上げることができるのは相当やりがいのある仕事だと思っています。

今後は今まで4コマ漫画を描いたことがなかった人まで投稿してくれるようになり、暇つぶしに4コマ漫画を描くという文化を創出できたらいいなあと思っています。