「酒太り」で注意が必要なのはお酒そのものではなくておつまみ【写真:photolibrary】

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「酒太り」の本当の原因は? 公認スポーツ栄養士に聞く「上手なお酒の飲み方」

 9月になっても、まだまだ暑さが残る日々。そんな時、ついつい手を伸ばしてしまうのがお酒だ。お父さんなら晩酌のほか、仕事の付き合い、アスリートであっても練習後のリフレッシュなど……。そんなとき、気になるは体調面や酒太りだが、飲み方次第では健康的に太らない方法もあるという。Jリーグの横浜F・マリノスやラグビートップリーグのパナソニックワイルドナイツなどの栄養サポートを手がける、公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏に「上手なお酒の飲み方」について語ってもらった。

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 好きな方はもちろん、お付き合いの場で飲む機会も多いお酒。特にお好きな方は、年を重ねるごとに健康診断に戦々恐々とされる方も多いのでは?

 アルコールはメタボや内臓への影響も考えながらお付き合いしてほしいもの。好きだからと考えなしに飲み続けた結果、体調を崩し、楽しめなくなったら元も子もありません。健康に留意しながら賢く飲みましょう。

 アルコールは嗜好品にカテゴライズされます。栄養のバランスを崩さずに飲む場合には、総摂取エネルギー量の10%以内。一方、肝臓など内臓への負担を考慮する場合は、アルコール量にして20g以内であれば節度ある飲酒量と考えられています。これは、ビールに換算すると500ml、グラスワインだと2杯分に相当します。

 今は純アルコール量を計算できるアプリもあります。気になる方は好みのお酒をチェックしてみてください。

 また、帰宅後の晩酌が楽しみ、という方のなかには、健康を気にかけて飲まない日=休肝日を設けている方も多いと思います。実際、栄養学的観点からも観ても、休肝日を設けることで、アルコールで摂取する分のエネルギーを、良質のタンパク質やビタミン、ミネラルの豊富な食事で補うことが出来るため、栄養の偏りを防ぐことが出来ます。できれば週2日、アルコールを抜くとよいでしょう。

 さて、皆さんの頭を悩ませるもう一つのお酒問題が「酒太り」。でも、実は注意が必要なのはお酒そのものではなくておつまみ。居酒屋などのメニューは主に揚げものや油で調理したものが多く、好きなもの、ビールとの相性のいいものばかりを考えなしに選んでいると、摂取エネルギー量は限りなく膨れ上がります。逆に言うとおつまみの選び方次第で、エネルギーもかなり抑えられる。ちょっとした意識の差で、「酒太り」問題も解決できるのです。

太らないおつまみ選びのポイントは2つ…メタボ対策に効果的なものとは?

 太らないおつまみや食事を選ぶポイントは以下の二つです。

<1>できるだけ油分(脂質)の少ないものを選ぶ

 こちらは、メタボ対策に効果的。例えば「焼き鳥、冷ややっこ、お茶漬け」コースと「から揚げ、揚げだし豆腐、ラーメン」コースを比べると、合計700kclも後者のほうが、エネルギーが多くなります。700kcalは成人男性の1食分のエネルギーの目安に相当します。つまり、1回の飲み会で2食分食べていることになります。

<2>糖質×脂質コンビに片寄らない

 ラーメンに代表する糖質と油(脂質)が合体した食事は、体のなかで脂肪に変換され、体脂肪として蓄積されやすい組み合わせ。焼肉、とんかつ、唐揚げに白飯とビール、今流行りのハンバーガーとビールなどは人気の組み合わせですが、習慣になってしまうと、どんどん脂肪が蓄積されるので注意しましょう。

 逆に積極的にオーダーしたいのはビタミンやミネラル、食物繊維を含む食材を使ったおかず。アルコールの分解を助け、二日酔い対策にも有効です。二つのNGポイントとも合わせると、湯豆腐、だし巻き卵、枝豆、つけもの、冷やしトマト、野菜サラダ(ドレッシングとマヨネーズのかけすぎに注意!)、刺身、焼き魚、焼き鳥がおすすめ。勿論、これだけを食べないとダメ、という厳しいものではなく、油分の少ない物も合わせて食べてほしい、ということです。

 さて、最初に1日に飲むお酒の適量についてお話ししましたが、たまの飲み会の日までセーブする必要はありません。大切なのはメリハリです。飲み会の日をはさみ前後1日、計3日間のスパンでエネルギーや純アルコール量を調整すればOK。お酒の好きなスポーツ選手も、トレーニングのある日はアルコールを断つ、飲んだ翌日はさっぱりした食事を摂るなど、調整しています。

 お酒の量、おつまみの内容、そして飲み会前後の過ごし方。自分はどこならば譲れるのかを考えると、「ガマン」によるストレスが少なくなり、健康的にお酒を楽しめますよ。

ボール、日本酒、ワイン、焼酎、ウィスキー…最もカロリーが高いのは?

【純アルコール20グラムに相当する酒の量とそのカロリー数の一例】

ビール 中瓶1本(500ml)/200kcal
日本酒 1合(160ml)/164kcal
ワイン グラス2杯(200m)/146kcal
焼酎 1/2合弱(70ml)/144kcal
ウィスキー・ブランデー ダブル(60ml)/142kcal

◇橋本玲子

 株式会社 Food Connection 代表取締役、管理栄養士/公認スポーツ栄養士。Jリーグ横浜F・マリノスや、トップリーグパナソニックワイルドナイツの栄養アドバイザー。2006年トリノ五輪では、フリースタイルスキー上村愛子選手を、日清オイリオグループ株式会社と共にサポート。トップアスリートから未来のアスリートを目指すジュニア世代とその保護者まで、幅広いターゲットに対し、より強く、より健康になるためのメニュー提案、栄養セミナー、栄養カウンセリングなどを行っている。

◇長島恭子

 編集・ライター。サッカー専門誌、フリーランスを経て編集ユニット、Lush!を設立。インタビュー、健康・ダイエット・トレーニング・ヨガを軸に雑誌、WEBでの執筆や、ムック、単行本を企画・制作。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(共に中野ジェームズ修一著、サンマーク出版)など。