約3年前、メキシコからアメリカへと国境の柵を越えていく男性を、僕は目の当たりにしました。直後に鳴り響くサイレン。おそらく、彼は捕らえられて国外退去。

リスキーなのは承知のうえで、人生の“大きな賭け”に打って出たのかもしれません。目の前のアメリカンドリームは、するりと手のひらからこぼれていきました。

かの有名なタイタニック号にも、同じ想いを抱いて乗船した6人の中国人がいました。そんな彼らにスポットライトを当てたドキュメンタリー『THE SIX《六人》』の予告編が公開され、話題になっています。

誰も知らない、
タイタニック沈没からの生存者

ディレクターArthur Jonesがドキュメンタリーを制作するきっかけになったのは、ある日、こんな話を耳にしたから。

タイタニック号の生存者には、中国人もいる。

Arthurが育った街にも生還者がいたそうですが、街中のみんなから知られる存在。対して、誰に聞いても中国人のことを知っている人はいなかった、と。

「なぜ、彼らのことを知っている人はいないのか?」や「いったい、彼らは誰なのか?」という疑問が、Arthurを突き動かしました。

こうして、調査を進めていくうちに明らかとなった衝撃の事実。

乗船者リストによるとタイタニック号には、アメリカンドリームを叶えるために8人の中国人が乗っていたそうです。他の記録によると、沈没していくときに5名は救命ボートに乗ることができたそう。乗り遅れた3人のうち1人は、船の破片に乗っているところを救助されたのですが、生き残った約700人の生存者たちが、ニューヨークで暖かく迎えられる中、6人の中国人への対応は異なっていたようです。

その理由は「中国人排斥法」ではないかと、Arthurは推測しているよう。生還者たちは追われるようにして、帰港した翌朝にはアメリカを去っていました。その後の動向は全く分からないようです。つまり、歴史から消えた存在。

・どのように乗船したのか?
・なぜ生き残ることができたのか?
・アメリカを離れた後の人生は?
・家族や親戚の人は、なぜ声をあげない?

様々な疑問を解決するべくArthurが撮ったドキュメンタリー『THE SIX《六人》』は、近日公開されるそうです。

Licensed material used with permission by THE SIX《六人》documentary