速報:新VAIO Sシリーズ3機種発表。S13はSIMフリーLTE対応、S11ともに新デザインに。指紋認証も
VAIOがメインストリームノートPC「S Line」3機種を一新しました。2015年12月のVAIO S11(現行モデル)発表から、約1年10か月ぶりのモデルチェンジとなります。

2017年初頭より法人向け市場に力を入れだしたVAIO株式会社ですが、今回の新S Lineも、コンシューマーよりはビジネス向けのニーズを重視。快適な作業ができる製品を目指し、さらにモバイル性を高め、VAIOらしいデザインを探求した製品となっています。

本日よりVAIOストアなどで予約を開始し、9月29日に発売(最短製品到着)です。
※追記:S11のLTE搭載モデルのみ、最短到着日は10月27日です。

VAIO株式会社 代表取締役・吉田秀俊氏は「2年越しでようやく新製品を発表できた。モバイル時代にふさわしい製品。快適で総合的に素晴らしい製品を提供していく」と今回の新製品発表にあたり語りました。

今回発表された製品は、以下の3つです。「VAIO S11」11.6インチ液晶搭載モバイルPC。LTE搭載を継承しデザインを一新。現行S11の後継。「VAIO S13」13.3インチ液晶搭載モバイルPC。新たにLTEを搭載しモバイル性を高めた。現行S13の後継。「VAIO S15」光学ドライブを内蔵した15.5インチ液晶搭載のオールインワンタイプ。現行S15の後継。Windows 10 データプラン対応のSIM「Cellular Data for VAIO」をLTE搭載モデルに同梱。
VAIOとしては、ハイエンド製品であるVAIO Zを筆頭に、メインストリーム的な存在のVAIO S Line、そしてデザイン性を重視したVAIO C15があります。今回は、S Lineという主力製品の後継機として、大幅な変更というよりはユーザーからの声を元に、より使いやすく、よりVAIOらしく改善した感じです。

VAIO S11/S13


▲新VAIO S11の新色ブラウン


▲新VAIO S13のブラック

現行のS11は、同じS LineながらS13とはデザインが違うものになっていました。また、その前の製品「VAIO Pro 11」より重くなったこと、VAIOらしいシャープ感のあるデザインではない点などが、ユーザーからの不満の声が高かったそうです。
逆にSIMカードスロットを搭載している点やバッテリー駆動時間の長さ、VGAや有線LAN端子を搭載している点は評価が高く、このあたりは引き続き製品へ反映させています。これらの声は法人からのものが中心で、VAIOがいかにこのS Lineを個人より法人へ売りたいかが伝わってきます。

これらの声を受けて、まずデザインを一新しました。まず最薄部を16.4mmから15mmとし、天板には東レ社製のUDカーボンを採用。キーボード面もアルミフラットパネルを採用し、重量を最軽量モデルで約840gと、現行モデルより約80gの軽量化を図っています。それでいてモバイルノートとして持ち歩くには十分の耐久性も備えています。


VAIO S11の新色ホワイト。天板はUDカーボンを採用している


▲アルミ一枚板を採用したパームレストで、スッキリとしたキーボード周り

このUDカーボンをはじめ、キーボードやタッチパッド、パームレストといった部品は、すべて日本での調達となるため、マザーボードの実装は中国の工場で行なわれますが、組み込み作業の大半を安曇野で行なうことになりました。これにより「MADE IN JAPAN」と謳えることになり、仕様選択肢の拡大、組み合わせによっては納期の短縮にもつながるとのことです。

これに対しS13は、S11とデザインを統一させているものの、UDカーボンは使用せず、従来のマグネシウム合金天板を踏襲。重量も約1.06kgと変わりません。最薄部も15mmとS11と同じで、これは現行機の13.2mmより厚くなっていますが、最厚部の17.9mmは変わりません(S11の最厚部も同じ)。


VAIO S13の側面カット。現行機のシャープさを継承しつつ、キーボード面のチルトアップ角度を増加

機能面もS11とS13とで統一させています。インターフェースは現行S13に合わせる形となり、S11はVGA端子はそのままに、HDMI端子も装備。USB3.0端子は3つ備え、LAN端子やSDメモリーカードリーダーも装備しています。HDMI端子は4K出力が可能で、VGAと合わせて3面倒同時出力もできます。

その反面、現行S11に搭載されているUSB Type-C(兼Thunderbolt 3)端子は非搭載になりました。これも法人を意識したもの。現状はまだ利用する機会が少ないということで、非搭載を決めたそうです。

ディスプレーは、S11もS13も従来同様フルHD解像度で、タッチパネルは非搭載に統一。現行S13のタッチパネルモデルはなくなることになります。キーボードは、より静音性を高め、歪みも少なくし、新たにUSキーボードが選択できるようになりました。タッチパッドは両機種とも左右ボタンを分離したタイプに。高精度タッチパッドともなっています。


VAIO S11も2ボタンとなり、誤操作に悩まされずにすむようになった

キーボードの右下には、指紋認証センサーを搭載できるようになりました(本体の色によって非搭載が選べないものも)。指をスライドする方式ではなくスマートホンと同様のタッチ式を採用し、Windows Helloに対応しています。


▲新たに搭載された指紋認証用のセンサー。タッチ方式を採用

無線周りはかなり強化されています。まずS11/S13ともにSIMフリーLTEを搭載しました。対応LTEバンドは、1、2、3、4、5、7、8、12、13、17、21、25、26(18/19含む)、28、29、30、38、39、40、41。対応3Gバンドは1、2、4、5、8、9、11、19(6含む)となっており、現行機より幅広い周波数帯に対応。
LTEはドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアに対応、3Gはauを除く2つのキャリアに対応しました。また、キャリアアグリケーション(CA)はカテゴリー9に対応し、最大下り450Mbpsに高速化しています。


▲SIMスロットは蓋付きになり、スッポリSIMを保護する

そして注目は、Windows 10のデータプランに対応したTransatel社製のSIMを同梱すること。プリペイドタイプで、必要なときに必要な分だけLTEが利用できます。現行S11でSIM搭載モデルを購入したにも関わらず、当面SIMを入れて使用する予定がないと答えている人か25%もいたそうです。このことにより、LTEが利用できることの良さを体感してもらうべく、このSIMを同梱することになりました。



同梱されるSIMはトライアルプランが付属し、1GB/1ヵ月間無料で利用できます。試しに使ってみるにはちょうどよく、プリペイドタイプなので、そのまま使い続けてもいいですし、新たにSIMを購入して利用するのもいいでしょう。


▲Windows 10データプラン対応のSIMは、Windowsストアにて追加容量を購入しすぐ利用できる

ただし、このTransatelのSIMはローミングを利用するため、通信料が高めの設定になっています。SIMを購入したり契約したりする必要がないぶん手軽なため、Wi-Fiが使えると思っていたら使えなかった、というような、いざという時に使うといいかもしれません。

Wi-Fiは、802.11acがMU-MIMOに対応。対応したルーターであれば、複数台使っていても速度の低下が抑えられます。また、現行機よりアンテナの位置を最適化し、より感度のアップも図られています。

CPUは、Core i7とi5、i3、Celeronから選択でき、メモリーは4GB、8GB、16GBの3つから。ストレージは第三世代ハイスピードSSDの1TB、512GB、256GB。SATA SSDの256GB、128GBの中から選択できます。こうしたカスタマイズの組み合わせは、S11では現行機の32通りから1280通りに、S13では現行の276通りから768通りへ大幅アップ。予算と性能のバランスを考えて、より自分にあったモデルを選択しやすくなっています。

【ギャラリー】新VAIO S11 (40枚)


【ギャラリー】新VAIO S13 (22枚)



ボディカラーは、S11がブラック、シルバーに加え、ホワイトとブラウンを用意。ホワイトの場合は、キートップの色もホワイトになります。S13はシルバーとブラックの2色になっています。予想実売価格は、VAIO S11/S13ともに10万4800円(税別・ソニーマーケティング扱い・以下同じ)から。

VAIO S15


▲新VAIO S15のピンクモデル。デザインは継承し中身をリビジョンアップしている

こちらは15.5インチのオールインワンタイプPCです。デザインは、ユーザーからの評判もよいために継続し、その他の機能面について改善を実施しています。まず、CPUにインテル第7世代Hプロセッサーを搭載。Core i5、i7はクアッドコアタイプになります。
また、ストレージに新たに第三世代ハイスピードSSD、第三世代ハイスピードプロSSDにも対応。SSDとHDDのデュアルドライブ対応は従来通り。メモリーは最大8GB。

Wi-Fiは802.11acに対応しMU-MIMOも利用可能。ただ、家庭やオフィス内での利用が考えられた製品のため、SIMフリー対応LTEは搭載されていません。液晶はアンチグレアパネルになり、ベゼルもシボ加工を施して反射を抑えています。

画面解像度は、1366×768ドットかフルHDかで選択可能で、タッチパネルは搭載しません。タッチパッドは、ほかのS Lineと同様2ボタンを搭載。BD/DVDドライブ以外のインターフェースは、S11/S13と同様となります。

カラーは、ブラックとシルバー、ホワイト、ピンクの4色を用意。予想実売価格は8万9800円から。

【ギャラリー】新VAIO S15 (21枚)



なお、S11とCellular Data for VAIO(データSIM)の使い勝手に関しては、下記の実機レポ記事を参照ください。

VAIO S11実機レポ。デザイン一新とUDカーボン復活で「VAIOらしさ」が戻ってきた

VAIO Sに同梱される契約不要データSIM「Cellular Data for VAIO」を一足早く使ってみた